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ブレーキを踏んでも効くのは12-18か月後:ローレンス・サマーズ
2021年4月24日

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、FRBの拡張的金融政策に対して批判を続けている。
同氏は、バイデン政権の財政政策についても、一部について過大と批判してきた。


FRBは伝統的にはインフレ懸念を予防するような形でモノを言い行動してきた。
今では、FRBがインフレ懸念を抱いているのではとの思いを予防するように、FRBはモノを言っている。

サマーズ氏が22日ツイートした。

特にリーマン危機後、世界は《不思議の国》とでも言うべき状況に突入した。
かつて悪玉だったインフレは、今では希求すべき絶対的ヒーローになった。
ほどほどのインフレが経済に有益な面を持つのは事実だが、もちろんインフレには悪い面もある。
すでに多くインフレ要因が増えた中で、いつまでもインフレをヒーロー視すべきなのかとの見方には一応の理があるのではないか。

サマーズ氏が論敵を追い詰めるやり方はなかなかねちっこい。

「FRBの有名な規範とは常にウィリアム・マクチェスニー・マーティンの言葉だった:
『FRBの仕事とは、パーティの収拾がつかなくなる前にアルコールを取り上げることだ。』
今言っているのは、周囲が酔っ払いの山になるまでは何もしないようにしよう、だ。」

扇情的なフレーズの後には、論理的なフレーズで畳みかける。
サマーズ氏は、インフレやインフレ期待が上昇した後に心配を始めることのリスクを指摘する。

1つわかっているのは、金融政策が1年-18か月の遅れをともなって作用することだ。
重大なインフレ期待の実現が明らかになるまで行動しないという判断では、大きなリスクを取ることになる。

遅効性の薬である金融政策であるがゆえに、症状が出た時にはもはや遅いというわけだ。

サマーズ氏は、足元で金利が急騰する可能性が低いとの見方には同意している。
しかし、だからといって金融政策を緩和しっぱなしで良いわけではない。
名目金利を今後3年間ゼロに据え置くと人々に信じさせることのリスクを指摘している。

資産バブルのリスク、国民貸借対照表上の短期債務が過剰になるリスク、インフレ昂進のリスクについて考えると、リスクのバランスから、これらすべての点についていくらか懸念を示すべきように思える。

日銀と違って、FRBは驚くほど資産バブルに対するガードが緩い。
一義的に政府の責任と考えているのに加え、逆に資産効果をツールとして利用しているためだ。
しかし、過去のバブル崩壊、あるいは単なる調整だけでも思い浮かべれば、資産デフレの破壊力が凄まじいのは衆知のとおり。
FRBはいつまでも雇用優先でいいものなのか。
サマーズ氏の心配ももっともに思えるのだ。


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