フリーランチと経済学者の責務:ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、モダン・マネタリー・セオリー批判の輪に加わった。
ハト派経済学者とMMT論者とは連続した空間にいるようにも見えるが、その違いを読み解こう。


経済状況の変化が、以前の正統性に大きく反する新たな経済学的概念を生んだ。
そして今、これら新たな概念をキワモノ経済学者らは過度に単純化、誇張し、いわゆるフリー・ランチを与えてくれるものと提案している:
誰にも負担を課すことなく、政府は財政支出を拡大できるというのだ。

サマーズ氏がワシントン・ポストへの寄稿で、モダン・マネタリー・セオリー(MMT)批判に参戦した。
幸いなことに、MMTについては名のある経済学者ならすべて誤りと指摘している。
ハーバード大学名誉学長の経済学者がこれに同調するのも当然の話なのだ。

レーガン減税のブードゥー経済学

サマーズ氏はMMTと同様の議論がレーガン政権の減税の際にも唱えられたと回想する。
税率には税収を最大化する点があると主張する、いわゆるラッファー曲線だ。
税率が低ければ税収は上がらないが、上げすぎれば企業活動が奮わなくなるという主張であり、いわゆるサプライ・サイド経済学と密接な考えだった。


「(ラッファー曲線は)税が重要なインセンティブ効果を有し、考え得る環境において減税が税収を引き上げうるという、有効な考えから始まったものだ。
それが、減税が常に割に合うとする愚かな考えに発展し、その考え方が与党のフラストレーションのたまった極端論者に採用されたのだ。」

この行き過ぎた議論は、同じ共和党から次期大統領となった、ブッシュ(父)大統領によって「ブードゥー経済学」として退けられた。
サマーズ氏は、MMTがこの再来と見ている。
皮肉なことに、今回は民主党左派の声が大きい。

今の時代のサプライ・サイド経済学

サマーズ氏は、MMTを「今の時代のサプライ・サイド経済学」と呼び、その問題点を列挙する:

  • 通貨発行がタダであるかのように言っている。
    実際には、ニュー・マネーは市中銀行が中央銀行に持つ当座預金に還流し、そこで利払いが発生する。
  • 政府がデフォルトすることなく通貨発行で財政支出を賄えると言っている。
    実際には、新興国市場での例を見る限り、これはハイパーインフレにつながる。
    このインフレ税は、他のいかなる税より過酷になる。
  • MMT論者は通常、閉鎖経済に基づいて議論する。
    MMTを実行すれば為替レートが崩壊する可能性が高い。
    「これがインフレを高め、(インフレにより)長期金利を上昇させ、リスク・プレミアムを拡大し、資金逃避を増やし、実質賃金を押し下げる。」

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