ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が、現在の米市場の状況を解説し、コロナ対応のための大規模な金融・財政政策の市場への影響を解説している。
米経済はV字の容易に回復する部分にあり、経済は強いように見えるが、これは完全にではないがフラット化し、ゆっくりとした回復になっていくだろう。
夏の後、あるいはその前にもV字部分は終わり、もっとゆっくりとした回復になるだろう。
ウィーン氏がポッドキャストで、米経済の回復がルート形になると予想した。
V字回復は楽観的過ぎ、ほどなくして回復ペースが鈍化するという。
通常、景気後退開始から景気後退前の水準まで回復するには数年かかるとして、経済が2019年の水準まで戻るのは2022年になるだろうと話した。
一方、経済の先行きが依然不透明な中、金融・財政両面での政策対応はかつて誰も予想しなかったであろう規模まで進んだ。
「FRBはバランスシートを1兆ドルの水準にするのに95年かけた。
そして、2008年のリーマン危機の週末に1兆ドルから2.5兆ドルに増やした。
そして、過去数年で4兆ドルに。
今や7兆ドルだ。
私は9兆ドルまでいくのではと考えている。」
ウィーン氏は、FRBのバランスシート拡大がマネーサプライに強力な影響を及ぼしていると指摘する。
現在の市場は完全な流動性相場であるとし、2つの重要市場への影響に触れている。
まずは株式市場だ。
ウィーン氏は、2019年水準までの経済回復が早くて2022年と予想している。
この見方からすると、現在のPERは2022年の利益(つまり2019年の利益)に対して20倍と計算されるという。
さらに、何か悪い材料が出てくれば、利益予想は低下する。
市場は目いっぱいの価格がついているが、市場に流れ込む流動性が大きな影響を及ぼしている。
結果、人々は外出せず、他のことにお金を使わないため、株式市場で投機を行っている。
それに包含されるリスクはとても深刻だ。
市場がさらに上がらないことを意味するわけではないが、上がるならファンダメンタルズによるのではなく流動性による上げになる。
長らく健全な強気予想を続けてきたウィーン氏だが、現在は明らかにトーンを変えた。
悪化したファンダメンタルズからいえば割高感がぬぐえないが、それでも有り余る流動性のために市場が上がる可能性も排除できないようだ。
もう1つはドル相場だ。
ウィーン氏は、今回の政策対応の「長期的なインプリケーション」を自問すべきとし、それがドル安だと指摘している。
これは経済に悪影響を及ぼす。
輸出は助けるが、輸入物価を押し上げる。
すでにややドル安になっており、これが進むのではと心配している。