ファンダメンタルズよりナラティブ:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米国株市場の本格的弱気相場入りのリスクを警告している。
昨年2回の株価下落局面で、市場心理には弱気のナラティブが居座っているのだという。


「FRBはジャネット・イエレン議長以来、予想可能で穏やかな存在だ。
だから、力強いナラティブなのだが、市場に転換点をもたらすナラティブではないと思う。」

シラー教授はCNBCで、株価下落の犯人をFRBとする説を否定している。
FRBは市場の安定を求め続けており、昨年2回の下落局面の主犯とは考えにくいという。
ダボスの寒空の下、ぶるぶると震えながら不吉な予想を話し出した。

シラー教授は、今後も弱含みの展開が続く可能性があると話す。
市場心理に曇りが生じたためだ。
それをもたらしたのは昨年の2回の下落局面だ。
1月からの下落では10%、9月からの下落では20%弱の下落。
特に20%という数字は、市場関係者の間で慣習的に弱気相場の定義とされており、市場の心理に影響を与えうる。


「これらのことが人々の心に重しになっているのだろう。
買いのシグナルを見ている人には下落は終わったとの感覚があるのだろうし、あるいは、仕事は終わりさらに下げるとの感覚を持っている人もいるのだろう。
・・・
自分の予知能力に自信があるわけではないが(今年弱気相場となる)リスクはある。
私はリスクをナラティブで類型化しているが、この弱気相場のナラティブは頑強に居座っている。」

シラー教授によれば、市場は心理で左右される部分が大きい。
出版予定の著書『ナラティブ経済学』でも、市場はファンダメンタルズよりナラティブにより突き動かされることを説明しているのだという。
実に興味深い話だ。
教授は行動経済学の第一人者であり、実証研究の第一人者だ。
シラーのCAPEやケース・シラー住宅価格指数の生みの親としても知られ、ファンダメンタルズの数字を丁寧に集めて実証研究をしてきた。
机上の空論だけではなく、実際の数字を使って現実と理論を突き合わせてきた教授が下した結論が、ファンダメンタルズではなくナラティブだったのだ。

米市場にはナラティブを生みやすい材料がもう1つある。
6月まで続けば史上タイ記録となる景気拡大の長さだ。

「いつでも株式市場が収縮してもおかしくないという感覚があるのだろう。
長く続いたし、下落の兆しがいくつか見えたからだ。
でもまだ本当の収縮は起きていない。
これは経済も同じことだ。」


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