ピーター・シフ

ピーター・シフ:歴史は韻を踏む

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Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、米債務上限を完全撤廃しようという動きに対して怒っている。
財政規律の悪化は米経済・市場の停滞を招き、米国株・米ドルには期待できないという。


「1913年にFRBが創設された時の法律の条項の一つは、米財務省のいかなる債務についてもFRBが買ったり保有したりしないということだった。
言い換えれば、FRBは財務省証券や米国債を保有してはいけないということだった。
政府が安易に借金を増やせるようなメカニズムを作りたくなかったのだ。」

シフ氏が米財政悪化の歴史をレクチャーしている。
当時の指導者たちは、政府が中央銀行と協調することで容易に借金を増やせることを予想していたのだ。
その心配事が、量的緩和という金融政策として世界中で行われている。
それでも初めは罪の意識があった。
量的緩和は財政支援を意図していないとの建前だった。
その建前に変化はない。
しかし、今では金融政策と財政政策を強調させるべきとの議論さえ大声で語られるようになった。
建前や意図はどうであれ、こうした政策は実質的にマネタイゼーションそのものであり、同じ作用を及ぼすと考えられる。


借金したい、借金は許さない

シフ氏によれば、第1次大戦で過ちが起こったという。
戦費調達のため、有利なファイナンス環境が必要になった時だ。

政府は連邦準備法を改正し、FRBが米国債を買えるようにした。
政府はFRBに国債を売却して戦費を賄った。
結果、インフレになり、1920年代終わりの株式市場バブルにつながった。
しかし、その結果、政府がFRBに国債を売却するのに対抗するため、議会が債務上限の導入を可決した。
これが債務上限の起源だ。

マネタイゼーション禁止を解除して空いてしまった穴を埋めるために、債務上限が導入されたわけだ。
ところが、今度はその財務上限を廃止しようという声が高まりつつある。
支出を決める側には、タガをかけられたくない人が多いのだ。
これは善良なケインジアンなのか、既得権益目当ての輩なのか。

(次ページ: 米ドルは長期弱気相場入り)

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