ピーター・シフ
 

ピーター・シフ:レパトリ減税でドル高にはならない

レパトリ減税でドル買いは間違い

シフ氏は、トランプ政権がもくろむレパトリ減税がドル高につながるとの見方について興味深い反論をしている。
レパトリ減税とは米企業の海外子会社からの利益還流について税率を軽減しようというもの。
国内への資金還流を促し、経済刺激につなげようとの趣旨だ。
市場の一部でこれがドル高に寄与するとの意見がある。
シフ氏はこうした意見について反論している。


「米企業の海外での利益はすでにドルになっている。
海外子会社で利益を得ているほとんどの米企業は、その利益をすでに米国債に投資している。
これらは米ドル建てだ。
あるいは他のドル建て商品にしている。
実際、そうした資金の一部は米銀の海外支店口座に預けられている。」

この意見には一理ある。
実際には、海外利益のすべてをドル転するわけではなかろう。
しかし、その場合、米企業の連結ベースのリスク管理においては、資産サイドに現地通貨のエクスポージャーが増えることを意味する。
すると企業は、許容できないエクスポージャーについて、同じ通貨・資産とは限らないまでも、逆向きのポジションを増やすことになる。
ドル買い、またはそれに似たポジション調整がなされることになる。
つまり、海外利益によるドル高要因は、利益が計上されるごとに、ある程度消化されていると見ることができる。


前例となるブッシュ政権による本国投資法(Homeland Investment Act)を見直そう。
この法案は2004年10⽉に成⽴し2005年に実施された。
この施策の効果については批判的な見方も多い。
債券王ビル・グロス氏は、米国内投資がほとんど増えなかったと指摘している。
ローレンス・サマーズ元財務長官は、トランプ政権が同様の政策を実施しても効果はないと斬って捨てている。
ただし、本記事の興味はあくまでドル相場への影響だ。

米ドル名目実効為替レート(青、左)、ドル円(赤、左)、米2年債利回り(緑、右)
米ドル名目実効為替レート(青、左)、ドル円(赤、左)、米2年債利回り(緑、右)

米ドル名目実効為替レート(青)を見る限り、短期的なノイズは別として、2005年の前後でドル高となったとは言いがたいだろう。
ドル円の動きに惑わされてはいけない。
この時期はドル安と円安が共存している。
ドル円は米ドル金利に影響を受けたものと考えるのが自然であろう。

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