ピーター・シフ

 

ピーター・シフ:インフレの兆候を直視しろ

執筆:

Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、インフレの到来を予想している。
インフレは予想外のオーバーシュートを起こし、中央銀行はなす術を失ってしまうという。


「みんな経済の現実から目を逸らしている。
原油価格を見てみろ。
私は原油が上昇するとずっと言ってきた。」

シフ氏が楽観を続ける米市場に警告している。
市場が経済のファンダメンタルズから乖離し上昇を続けているという主張だ。
シフ氏は原油価格上昇に象徴されるインフレ進行に強い危機感を抱いている。
エネルギーだけでなく、コモディティ全般に価格上昇は及んでいる。
しかし、FOMCが恐れるのは依然として低インフレであって高インフレではない。

「インフレが来ないと思うなら、それは間違いだ。
そうした期待は完全に間違っている。
みんな為替市場、コモディティ市場、債券市場で起こっていることから目を背けている。
これらすべての市場が、少なくとも消費者物価・生産者物価というものさしにおいて、インフレの到来を示している。」

米ドル実効為替レート(青)とドル円(赤)
米ドル実効為替レート(青)とドル円(赤)

2017年はドル安の年だった。
実効為替レート・ドル円ともにドル安を示しており、米ドルが減価した、つまりインフレが潜在的に進行していることを示唆している。
ドル安になれば、コモディティ価格は(ドル建てで)上昇する傾向がある。
これも、米ドルの価値が相対的に低下したことを示し、インフレ要因だ。


米労働省コモディティ指数(前年比)
米労働省コモディティ指数(前年比)

債券市場でも変化の兆しがある。
米10年債利回りこそ上げ渋っているが、中期の金利は昨年秋口から上昇を続けている。
当初は実質金利の上昇であったものの、減税による財政悪化が意識されるようになると、市場の期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)にも上昇傾向が見えるようになった。

米5年債利回り(青)と5年ものブレークイーブン・インフレ率(赤)
米5年債利回り(青)と5年ものブレークイーブン・インフレ率(赤)

「これら(消費者物価・生産者物価)は上昇しているのに、FRBはいまだに十分に上昇せず2%目標に達しないことを心配している。
物価は場外ホームランになる。
2%は過去、遠い過去のものになる。
大事件になる。」

高インフレは脅威ではないという人もいる。
デフレの脅威にさらされるまで、中央銀行は高インフレへの対処を責務としてきており、十分なノウハウ・手段が存在するからというのがその理由だ。
しかし、シフ氏は楽観視しない。
インフレが目標を大きくオーバーシュートし、対処できなくなると予想している。
それには、時間とともに程度を増していく要因がある。

「『FRBの利上げは経済が良好なことを示しているのでいいことだ』という人が多い。
しかし、もしも経済が良好ではなかったら、利上げに弾みをつけるインフレが進んでいるとしたら、いい状況ではない。
特に債務が膨大に存在し、金利上昇に対して経済が脆弱な時にはなおさらだ。」


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