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ピーター・シフ ピーター・シフ:アメリカ人が金を買わないワケ

トランプ・ラリーという錯覚

こうした共和党員たちが、トランプ大統領誕生とともに突然変化したのだという。
みな楽観的となり、新大統領が問題のすべてを解決してくれると錯覚した。
オバマ政権の8年間とヒラリー・クリントン当選が予想された時期は金が買われていたが、トランプ当選によって株が買われるようになった。
シフ氏は、こうした行動変化について錯覚に駆り立てられたにすぎないと諭す。


「ドナルド・トランプ大統領はヒラリー・クリントン大統領よりましだった。
しかし、トランプ大統領は経済にとって《牢屋から出てよい》というカードではない。
バラク・オバマがこの国に与えたダメージが、ドナルド・トランプの任期中にやってくることが問題だ。
トランプは災難を受け継いだが、それを回避する術を持たない。
さらに重要なのは、これはバラク・オバマがやったことでさえなく、ジャネット・イエレン、ベン・バーナンキ、アラン・グリーンスパンがやったことなのだ。」

トランプ政権も問題を悪化させる

過去の政権下で続けられてきた金融緩和と財政悪化が米経済を危うくしているというのがシフ氏の持論だ。
さらに、問題は悪化しつつあるとし、批判の矛先は現政権にも向かう。

「ドナルド・トランプが自身の政策を議会で通せたとしても、その政策は『米国を再び偉大にする』ような政策ではなく、問題は解決しない。
ドナルド・トランプはフランクリン・ルーズベルトをまねて借金を増やすと言っている。」

共和党タカ派、リバタリアンと近い考えのシフ氏からすれば、拡張的金融政策(金融緩和)も拡張的財政政策(財政出動)も評価に値する政策ではない。

税をインフレにすり替える

シフ氏は、トランポノミクスについて、面白い括り方をしている。

「ドナルド・トランプがやりたいのは、課税をインフレに置き換えることだ。
政府の歳出拡大を継続したいのだ。
おそらくいくつか表面的な歳出削減はやるだろうが、急増する社会保障費の削減は実質的に行われないだろう。」

日本人にとっても胸に響く言葉ではないか。
課税をインフレに置き換えるとは、リフレの財政面の効果、金融抑圧シムズ理論で語られるところだ。
つい先日も、バーナンキ前FRB議長が日本に勧めたのが記憶に新しい。
日本では、約束された増税が延期になる中で歳出拡大がやまず、一体で行われるはずだった社会保障改革の足取りものろい。
拡張的金融・財政政策が誤りと言うつもりはないが、こうした意見はありがたく傾聴すべきだし、あわせて米国の日本化を心配すべきかもしれない。


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