海外経済 投資

ピーター・シフは意外とまともだった
2020年2月5日

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、金融抑圧から投資家が身を守る方法を説いている。


私たちは国際市場、ドル以外の投資、株式、いくらかの債券にフォーカスしている。
米投資家がすべき最重要課題は、船が沈む前に捨てることだ。
単に米国株・債券から撤退するだけでなく、ドルも手放すことだ。

シフ氏がThe Income Generation Showで、米国民に対して米ドルへのエクスポージャーを引き下げるよう奨めている。
いつもの通り、シフ氏の米経済・市場への見通しは暗い。
万年暗い。
そして10年に一度ぐらい的中する。

シフ氏は今後3-5年で見て米国株市場がロスを出すと予想する。
しかし、それが最大の問題ではないという。
最大の問題は、通貨ドルの下落だという。

シフ氏の予想が当たるなら、米国株は株価下落とドル下落のダブル・パンチを浴びることになる。
米国株保有者は多くの購買力を失うことになろう。
これが日本人なら、日本株が少し上がって円が大きく下がっても喜ぶのかもしれない。
しかし、米国人は見た目の株価にごまかされるほど愚かではない。
ドル安のメリットを無視はしないだろうが、デメリットにも目を向ける。

キャスターは、債務が拡大したがゆえにシステムが金利上昇に耐えられないと指摘。
永遠に人為的な低金利が続くのではないかと質問した。
もちろん、シフ氏の答はNoだ。

「それは正しくない。
それは『傘がないから二度と雨は降らない』というようなものだ。
雨は降り、そうすれば濡れるだけだ。」

シフ氏は、FRBが可能な限り低金利を維持しようとする点には同意している。
そして、その間バブルがさらに膨らんでいくと予想する。
しかし、最後には金利の上昇は避けられないという。
金利が上昇すると、FRBが粘った分だけ痛みを大きくなるという。

金利が上昇するのかどうかは議論がある。
中央銀行が国債をどこまでも買い入れれば、名目金利を抑え続けることはできるだろう。
しかし、そうした思考実験もシフ氏の主張を大きく変えるものにはならないだろう。
しょせんシフ氏のシナリオでは二者択一しかないからだ。

  • 金利をどこまでも低位に保てば、インフレがどこまでも上昇する。
  • 金利を上昇させ国債にデフォルトのリスクが高まれば、やっぱりインフレが進む。

おそらくシフ氏のロジックは正しいのだろう。
ただし、それが実現すると限ったわけではない。
程度と時期は予想できず、Uターンの可能性も残っているはずだ。
とはいえ、ドル安・インフレをヘッジすべきという結論はそれなりにまっとうなものだ。

シフ氏はコモディティ、貴金属、金にもフォーカスしていると話す。

「現物の金や鉱山株への投資を助けている。
今後5-10年で10倍以上に化けるホームランは鉱山セクターから出るだろう。」

キャスターは、一般の投資家は金をどの程度ポートフォリオに組み込むべきかと尋ねた。
そこで視聴者は意外なシフ氏のまともさに驚くことになる。

すべての投資家、特に保守的な投資家はポートフォリオの少なくとも5-10%を現物の金に配分すべきだ。
米国株や米ドルが割高であることを考えると、もっと配分すべきかもしれない。

あれだけ金は上がる、金を買えと言ってきたシフ氏だが、推奨する組み込み割合は5-10%にすぎない。
他のオーソドックスな投資家とたいして変わらないウェイトではないか。
レイ・ダリオ氏は2018年10月、金に5-10%程度配分するよう奨めていた。
ゴールド・バグとして知られるマーク・ファーバー氏は、常に資産の1/4程度を金に配分していると話している。
シフ氏の推奨する5-10%は、ゴールド・バグとしてはかなり控えめに響く。
この人は意外とまともなのだ。
ただ、レトリックがきついだけなのだろう。

シフ氏は、国家が債務の実質的価値を減価させるためにインフレを誘導する、いわゆる《インフレ税》について、その回避策を提案している。

引退生活をこの大幅な殺人的なインフレ税から回避・保護するため、今ドルを手放すべきだ。
米市場・米ドルを避け、外国資産、外国株、貴金属、鉱山株を保有し、インフレ税を回避すべきだ。
それが唯一米国での引退生活を守る道だ。

金への配分が5-10%とすれば、問題となるのは、どこにまともな国があるかだ。
シフ氏は昨年9月ましな国としてシンガポール、香港、スウェーデン、ノルウェー、スイス、オーストラリアなどを挙げていた。


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