ビル・グロス:問題なのは名目金利ではなく実質金利

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Janus Henderson Investorsの2018年見通し「Market GPS」の中で、ビル・グロス氏のコメントがいくつか紹介されている。
Junusの他のアドバイスとともにチェックしておこう。

グロス氏のコメント部分は次の2点:


  • 2018年、長期金利は上昇する可能性が高いが、そのペースは緩やかなものになろう。
  • 世界の名目成長率が4-5%に達する限り、金利上昇は問題ではない。
    問題なのは、実質GDP成長率と等しくなるべき実質金利だ。
    何が正しい短期実質金利なのかはわからない。
    かつては2%だったが、今では経済を刺激するには-1%が必要だ。
    FRBはその経済モデルがほとんど役に立たなくなるにつれ、QEから用心深く手を引くだろう。

グロス氏の興味は、金利上昇と経済成長のバランスにあるようだ。

グロス氏の見方は穏やかな変化を予想するもののように読めるが、Market GPSではもっと刺激的なコラムが掲載されている。
JanusのDarrell Watters氏による米ドルの長期見通しがそれだ。

「米国はかつて世界経済の60%を占めていたが、今では約26%となり低下を続けている。
これは、毎日のように米ドルの重要性が低下していくことを意味している。
何か債券市場でサプライズがあれば、それが明るみに出る。
特に債務対GDP比率が100%の国ではそうだ。」


米国債を始めとする米ドル建て債務は世界中の投資家にとって人気の投資対象だ。
多くの国が、外貨準備の多くをそうした投資先に振り分けている。
そうした国々は、米ドル安のリスクにさらされるようになる。

「そうした資産から得られるキャリーを超えるドルの減価が起これば、米債務への投資意欲は弱くなっていくだろう。」

FRBがバランスシート縮小に着手したとは言え、いまだ米金融は超緩和状態にある。
そこで、財源のないトランプ減税が実現し、米経済はインフレ・金利ともに上昇しやすい環境にある。
インフレと実質金利のバランスが崩れれば、米ドルは凋落へ向かいかねない。

最後に、Janusの2018年の推奨から興味深いものを紹介しよう。

債券市場:

  • 短いマチュリティが有利で、保有ポートフォリオを格付・信用力の高いものにシフトするとリスク低減できる。
  • リターンを追って高利回りの債券に手を出してはいけない。
    低金利・低スプレッドの時期に過度なリスクをとると、債券の元金確保の働きが失われてしまう。
    金利上昇・スプレッド拡大が大きくなるような債券では価格下落リスクが大きい。
  • 高バリュエーションでは、パッシブ投資は適切でない。
    信用リスク・金利リスクの両面でベンチマークよりディフェンシブにできるようにしておくべき。

市場ボラティリティ:

  • 先進国での金融政策正常化はボラティリティ水準を正常化させる可能性が高い。
  • ボラティリティ上昇のタネは多くあり、注意を忘れてはいけない。
  • ボラティリティ上昇はアクティブ運用ファンドにとってはチャンス。

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