ビル・グロス:カーブに気を付けろ

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債券王ビル・グロス氏の7月の月例書簡のタイトルは「カーブ・ボール」。
FF金利引き上げによってイールド・カーブがさらに平坦化すれば、景気後退リスクを高めるという。


「リーマン後の時代の金融政策は、ずいぶん以前に逝去したジョン・マクシェリー審判員の暴食に似ている。
中央銀行は債券買入れをやめられない。
衝動的な過食者・過飲者がしばしば、もう少しでやめると約束するようなものだ。」

マクシェリー審判とは1996年、ある大リーグの試合開始まもなく心臓発作でなくなった審判だ。
暴食の末の肥満が命取りとなった。
リーマン危機後は、各国の中央銀行が暴飲・暴食を繰り返し、バランスシートを肥満させてきた。

伝統的なモデルが通用しない

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 グロス氏は、市場に残っているうち5超ドル兆もの投資適格債がマイナス利回りとなっている現状を危ぶむ。

「特にイエレン、バーナンキ、ドラギ、黒田のテイラー・ルールやフィリップス曲線など標準的な過去のモデルへの固執は資本主義を歪め、一たび気づけば将来に潜む不可知の結果をもたらす。」

グロス氏は、伝統的な経済モデルへの固執は危険だと主張する。
伝統的な経済と今の経済では状況が異なるからだ。
リーマン危機後は「異常な金融政策の時代」であり、経済全体がレバレッジを拡大しており、伝統的な経済モデルはそのまま当てはまらないかもしれない。

イールド・カーブはまだフラットじゃないから・・・は危険

一方で、民間エコノミストの間にも昔の神話は生きている。

「リーマン前のサブプライム・モーゲージで見られたように、破壊的なレバレッジのほとんどは、債務の保有者に対する毎月の利払いコストが急増するにつれ、イールド・カーブの短期側で謙虚になる。
政府や米財務省は追加的な支出を払う余裕があるが、レバレッジのかかった企業・個人の多くは余裕がない。
・・・
常識で言えば、レバレッジの高い経済ほど、成長率は短期金利と平坦なイールド・カーブの利用に対する感応度を増す。
歴史的に、これは景気後退の始まりでも当てはまる。」

グロス氏は、過去3回の景気後退(1991年、2000年、2007-09年。下グラフの灰色の期間)の直前、いずれもイールド・カーブがフラットになった(下グラフで緑線が水面まで落ちた部分)と指摘する。
(参考: 【メモ】FRBが恐れる期間プレミアム急騰
現在はまだ80ベーシスあるからという理由で景気後退は近くないとする推論は「多分」というレベルにすぎず、安心すべきものではないという。

3か月米TB(青)、米10年債(赤)の利回りとスプレッド(緑)
3か月米TB(青)、米10年債(赤)の利回りとスプレッド(緑)

(次ページ: FRBがバランスシート縮小を急ぐワケ)