ビル・グロス:そろそろ時間だ

債券王ビル・グロス氏の今月の月例書簡のテーマは、言うまでもなく債券市場の弱気相場入りだ。
先日ツイッターで宣言した後、前日には各メディアで今回の弱気相場の特徴を説明していた。


(2016年7月の長期金利)1.45%が、1981年の15.8%から始まった債券の強気相場の終わりと言っていいだろう。
この強気相場は、先見の明のあるポートフォリオ・マネージャーに潜在的に巨額のキャピタル・ゲインといわゆる『トータル・リターン』を与え、以前は株式や不動産の唯一の砦となっていた。

グロス氏が月例書簡でこう書いている。
1981年から2016年まで続いたとするなら、実に35年間にわたる強気相場であったことになる。
この間、長期金利のトレンドは一貫して低下を続け、債券のみならずあらゆる資産クラスの資産価格を押し上げる効果を発揮してきた。
金利低下のプラス要因が剥落するなら、経済が拡大しているとは言え、その影響は他の資産クラスにも及ぶ。
グロス氏はむしろそちらの方が重大と言いたいようだ。


あくまで優しいデカフェの弱気相場

「弱気相場は始まったが、債券投資家にとっては危険なものではない。
年リターンはわずかではあるが依然プラスだ。」

グロス氏は、金利上昇により生じうるキャピタル・ロスをインカム・ゲインでカバーできると考えている。
金利上昇は緩やかになるとの見方なのだろう。
今後、価格変動の大きなリスク資産の市場で動揺が起これば、債券市場は退避資金の受け皿の一つとなる。
だから、金利上昇が急ピッチにはなりにくいとのシナリオも成り立ちうる。

しかし、これも鵜呑みにすべきではないだろう。
債券投資家が《弱気相場だが危険ではない》と言っても、それはポジション・トークかもしれない。
そもそも弱気相場入りが杞憂である可能性もなくはない。
あるいは逆に、債券投資のトータル・リターンがマイナスとなるような金利上昇もありえなくはない。
グロス氏の唱える金利上昇予想には相応の説得力があるが、リスク・シナリオの想定を怠ってはいけない。

(次ページ: 金利は都合よく止まるのか)


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