ビル・グロスが推奨する3銘柄

かつて長く債券王と呼ばれたビル・グロス氏が、久しぶりにリラックスした雰囲気の中でテレビ出演している。


「私は出るのが少し遅すぎたようだ。
もう一度(過去5年を)やり直すなら、私はPIMCOを離れなかっただろうが、PIMCOを離れたなら、ゴルフ・コースに直行しただろう。
私は自分の力を証明しようとしすぎて、それをトータル・リターン投資から少し逸れたアンコンストレインド・ファンドでやろうとした。
これをなしにしたいよ。」

75歳の老投資家がCNBCで、機関投資家としての最後の数年を回顧した。
1971年にPIMCOを創業したグロス氏は、同社を世界一の債券ファンドに育て上げ、自身は債券王と呼ばれるようになった。
PIMCOの経営権は売却し、自身はファンド運用に専念していたが、会社との関係が悪化、5年前の2014年にPIMCOを退社することとなった。
職場をJanus Capital(現Janus Henderson)に移しアンコンストレインド・ファンドを運用したが、そのファンドはもはや債券ファンドではなかった。
何でもありのヘッジ・ファンドへと変貌していたのだ。
金利が低下し尽くし、債券で稼げなくなる中で、もがき苦しんだのだろう。
その中で、大きな注目を浴びたのが、米国債ロング/独国債ショートのポジションだった。

「(米独)スプレッドが拡大するにつれ、私は損を出した。
今ではこれが30-40 bpも縮小した。
続けていれば、儲かったんだよ。」

会社を出るのは遅すぎたが、ポジションを閉じるのは早すぎたのだ。
ポジションをもっと長く持ちこたえていれば、グロス氏の機関投資家としての引退は先に延びていたのかもしれない。
ちなみに現在のグロス氏は、米国債先物をまだ保有しているというから、金利低下局面では儲かったのだろう。
一方、独国債ショートは解消しているというから、こちらもオーライだ。

グロス氏は、現在の金利環境について強い危機感を呈している。


資本主義はいまでもキャリーに依存している。
だからこそイールド・カーブのフラット化は危険なんだ。
利回りを取るために長い年限、長いデュレーションでリスクを取る人がいなくなってしまう。
(長短金利差による)利回りが得られないからだ。
これを株や不動産などに当てはめれば、資本主義が危険にさらされていることの反映だ。
誰も(リスクを)取ろうとしなくなってしまうからだ。

投資家・企業が長期投資のリスクを取ることで得るリターンのうち、キャリーが奪われようとしている。
インカム・ゲインはマイナス、ロール・ダウンもないとなれば、誰も長期投資のリスクを取ろうとはしなくなる。
ペチャンコのイールド・カーブは資本主義の基本的な機能を損ないかねない危うさをはらんでいる。

グロス氏はいくつか一問一答で質問を投げかけられている。

  • 12か月のうちに米景気後退はあるか? ノー。
  • 10月の利下げはあるか?  イエス。
  • 10月利下げは必要か? イエス。
  • トランプは再選されるか? ノー。再選されないことを祈っている。

グロス氏は今後の注目点が金融から財政に移ると話している。
これにともない投資のテーマも変化せざるをえない。

「金利に着目したトレードは世界のほとんどの地域で基本的に消滅した。
17兆ドルもの債券はマイナス利回りだ。
この先は財政刺激策になる。」

こうした見解の背景には、大統領選での有力候補の顔ぶれがあるようだ。
仮に民主党が勝つとなれば、現状優勢なのはウォーレン上院議員。
同氏が勝利すれば、現在の1兆ドルの財政赤字に加え、さらに1兆ドル積み増しになるだろうとグロス氏は言う。

良かれ悪かれそうなると思う。
インフレがやってくるという人もいるだろうし、たぶんその通りだ。
でも、FRBは10年間も2%のインフレを実現しようとやってきたけど、あんまり・・・

CNBCは勇敢にもグロス氏に債券以外の分野での推奨を求めている。
グロス氏は銘柄を3つ挙げて理由を説明している。

  • Annaly Capital(NLY-G)モーゲージREIT。FRBのTビル買いでイールド・カーブがスティープになれば恩恵を受ける。
  • Invesco(IVZ)投資運用会社。高配当・低PER。クローズ・エンド・ファンドのフィーは固定されている。
  • Allergan(AGN)被買収における裁定機会。

(一部「利下げ」を「利上げ」としていた誤植があり修正しました。)


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