海外経済 投資

ビットコインじゃないんじゃない:ロバート・シラー
2021年5月24日

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル賞を受賞した行動経済学者 ロバート・シラー教授が、住宅・株式・暗号資産の各市場について素朴な質問を受けている。


競争の20年代について書いたことがある。
歴史には、感情や社会の興奮がより多く許容された時代があり、今もその1つのように思える。

シラー教授がCNBCで、現在の社会情勢や市場心理について遠回しに語った。
端的にいうなら、多くの市場で熱狂が見られつつあるということだろう。
教授は、米住宅市場の現状を語った。

「私の過去100年ほどのデータで、実質ベースで住宅価格がこんなに高かったことはなかったから、すごいことだ。
当然のことに、私たちは(住宅価格)安定の源泉をFRBだと見ている。
100年の長きにわたってこの役割をいくらか果たしてくれたことに感謝すべきだと。」

米住宅市場はインフレ調整後で見て長期的に安定的に推移してきた。
この安定を支えた1つが金融政策であったのは事実だろう。
しかし、最近で見ると、FRBは安定させる側とはいいがたい。
シラー教授のデータによれば、1890年の実質住宅価格を100とすると、2000年初めが126、今年初めが194。
長く続く金融政策が、実質ベースでも住宅価格を上昇させたのだ。

シラー教授は、とても不吉な予想を語っている。

私はすべてのことが中央銀行の政策で説明されるとは思わない。
何か市場の社会学のようなことが関係しているのだ。
問題なのは、それがクラッシュを起こすことなく市場を安定させることができるかだ。
それは難しい。

米国株市場について急落が近づいているのかとの無茶な質問を受けると、シラー教授は率直にわからないと答えている。
すぐに突然壊れ落ちるとは限らないとし、話を住宅市場に戻した。

多くの上向きのモメンタムが存在し、1年待ってもおそらく住宅価格は下落しないだろう。
しかし、3-5年なら、今よりかなり低いところになっているだろう。

短期で大きく下げるかどうかは疑問だが、中期的にはかなりきっぱりと下げを予想している。
住宅が大きく下げるなら、株式もある程度道ずれになるのだろう。

この程度の予想なら並みの終末論者でも話すだろう。
シラー教授が少し違うのはこの先だ。

それは多分いいことなんだ。
住宅保有者にとってはそうでないだろうが、これから買おうという人にはいいことなんだ。
持ち家が増え、幸福になるはずだ。

シラー教授の議論に一貫しているのは、どうやって人々に幸福をもたらすかだ。
必ずしも財産(または国富)や所得(またはGDP)でなく、内面も含めてどう人々を幸福にするかに目標がある。
(そのために、新奇な制度の導入の提言さえしてきた。)
そういう見地に立てば、資産価格の下落には喜ばしい面もあるのだ。

キャスターは話を3つ目の資産クラス 暗号資産に移した。
シラー教授の消極スタンスに変化はないか尋ねている。

「私は(暗号資産の保有が保有者に与える)効果を経験するために買おうか考えていた。・・・
でも買ったことはない。
もしかしたらこの市場に参加すべきかもしれないね。」

シラー教授は概して優しい。
興味がまったくないようなものでも、一方的なディスり方はしない。
むしろ、一片の取柄を拾ってあげようとする。
しかし、この日、キャスターが質問を重ねる度に、遠回しのダメ出しがきつくなっていった。

「私は市場心理について考えており、これはとても心理的な市場だ。
印象的な技術だが、究極的な価値の源泉があいまいで、現実というよりはナラティブのレベルの話だ。」

シラー教授がここまで言っているのに、キャスターはまだ教授に買わないのか尋ねている。
もちろん教授の答は買わない、だった。

技術は面白い。
誰かが何かとても有用な用途を見つけるだろうが、それはビットコインじゃないかもしれないね。


-海外経済, 投資
-, , , , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。