アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、経済再始動後に訪れるFRBの試練について予想している。
莫大な流動性が跳ね回り、行き場を探している状況だ。・・・
興味深い点は、さらに注入される流動性の額についてある程度予想可能である点だ。、
それは莫大な額だ。
エラリアン氏が、上昇を止めないリスク資産の背景を解説している。
流動性相場が続き、米政治を見る限り、それは当面続くようだ。
注入の側は持続するだろう。・・・
すべて合わせると、GDPの20-25%のどこかになるだろう。
こちらの側はわかっているが、これら資金が、特に経済が適切に再開した時にどうなるかだ。
注入された流動性は、経済が停止しているうちは民間部門の預金としてとどまっている。
お金があってもウィルスの脅威が晴れないうちは「観念的需要」のままだ。
しかし、経済が再開すれば話は違ってくる。
脅威から解放されて、再びアメリカ人は消費拡大に酔いしれるのだろうか。
それとも、羹に懲りて膾を吹くの諺のとおり、次の危機に備えて貯蓄に励むようになるのだろうか。
「経済学者の疑問はこうだ:
観念的需要の一部が有効需要になり、供給側が素早く対応できなければ、市場とFRBの両方が反応すべき物価急騰になるか、と。
これが目下の大問題であり、すべての市場参加者が考えておくべき点だ。」
エラリアン氏自身の予想はやや悲観的だ。
多くの人が予想するより大きなインフレ急騰が起こるだろうという。
そして、その先の展開まで読んでいる。
経済学者は
『これはインフレなのか、それとも一回きりの現象なのか』
議論を始めるのだろう。
しかし、市場の方はそれを待ちはせず、FRBをとても困難な立場に追い込む。
株式市場に潜在的な混乱を許すことになるか、あるいは、暗黙・明示的なイールドカーブ・コントロールに踏み込ませることになる。
経済が過熱し、インフレが急騰し、FRBが金融引き締めでブレーキを踏めば、いつもの景気後退のルーティーンだ。
イールドカーブ・コントロールはそれを回避しようとする一手段だが、それはインフレについての解決策ではなく、むしろ悪化をもたらす。
景気後退のルーティーンを回避する道は残されているのか。
エラリアン氏はかなりの隘路を提案している。
「FRBが勝利するための道は、債券市場・株式市場の平静を保ちファンダメンタルズが資産価格を正当化し始めるようにすることだ。・・・
険しい道だが、それが出口だ。」
逆に言えば、FRBがこの匙加減に成功した時は景気拡大が持続し、失敗すると景気後退がやってくるということ。
そして、過去の米経済史で永遠に続いた景気拡大はもちろんない。
景気を殺すインフレ水準、金利水準とはどのような水準なのか。
(10年債利回りが)月末に1.50%になっても困難な状況にはならないだろう。
年初にも見たことであり、その後、市場に混乱をもたらすのだろう。
ゆっくりと2月までで1.25%、1.30%と上昇するなら、現在と同じ状態が続くだろう。