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パンデミックの間650人だけで1兆ドル儲けた:バイデン大統領
2021年5月7日

バイデン大統領が明確にトリクルダウン経済学を否定したことがかなりの支持を集めており、少なくとも今後数年、米政府の経済政策の性質に変化が起こるかもしれない。


このパンデミックの間、650人の人たちが財産を1兆ドル(約109兆円)増やした。
今では4兆ドルを超えている。

バイデン大統領が先月30日の議会での施政方針演説で、パンデミックの中でも富裕層がどんどん豊かになっている状況を説明した。
もちろん、これだけ財産が増えたのだから、確実に米社会の格差は拡大したのだろう。

国民の皆さん、トリクルダウン、トリクルダウン経済学は機能したことがない。
今こそ経済を貧困層と中間層から成長させる時だ。

バイデン大統領はこう続け、スタンディング・オベーションを受けている。

人気の高かった共和党のロナルド・レーガン大統領が掲げたトリクルダウンだが、十分に機能しないというのはそのとおりなのだろう。
日本でもアベノミクスの当初、さかんにトリクルダウンを主張していたが、その後ぱったり口にしなくなった。
企業や富裕層を儲けさせれば、それが自然と十分に中間層・貧困層まで行き渡るというのはあまりにも楽観的過ぎる。
安倍政権もそれに気づいたからこそ、この考えを引っ込めたのだろう。

たとえ格差が拡大してしまっても、中間層・貧困層が引っ張り上げられるのなら、それを主たる手段とするかは別として、まったく有効でないわけではない。
しかし、人々の中に引っ張り上げられていないとの思いが強いのも事実だ。
富裕層に減税をすれば、自分が十分潤うと考えている中間層・貧困層は希少だろう。
企業に何か恩恵を与えれば、労働者としての中間層・貧困層に恩恵があってもいい。
しかし、これも期待外れに終わってきたのではないか。
賃金上昇は満足のいくものでなく、生活が楽にならないと感じる人は多い。
一方、企業の方は使うべき、あるいは投資家に返すべきキャッシュを外に出さない。

バイデン大統領の演説の後、IpsosがReutersの依頼で行った調査結果をReutersが伝えている。

51%の大人が『トリクルダウン経済学は米国で機能したことがない』との発言に同意し、26%が反対した。

共和党では、10人中4人が、これが失敗した理論だったことに同意し、10人中3人が反対した。
民主党では、10人中7人が、トリクルダウン経済学が機能したことがないことに同意し、10人中2人が反対した。

共和党の基本的姿勢と思われがちなトリクルダウン経済学だが、実は共和党の中でも意見が拮抗しているように見えるのが興味深い。
いずれにせよ、今後数年トリクルアップとでもいうような政策が模索されるのだろう。
程度はどうあれ、これは他国の政策にも影響を及ぼすはずだ。

インフラを整備し、中間層・貧困層を支援し、人的資本の充実を図るのだろうが、言うは易しだ。
新たなアプローチが模索され、結果が出るまでには長く長くかかり、効果のほどは長く長く霧の中ということになろう。
方向性は間違っていないのだが、おそらく多くの無駄遣いが起こる。
いやな話だが、そういうところに先回りするのも1つの投資戦略となるのだろう。
いろんな意味で、政治家と仲のいい企業群にお金が撒かれないか、注意しないといけない。


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