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パラダイム・シフトが近づいている:レイ・ダリオ
2020年2月12日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、従前から主張してきたパラダイム・シフトの到来について説明した。


「1930年代にはある特徴があり、1940年代には別の特徴があった。
1950年代はインフレなき成長だった。
1960年代は貨幣システムの崩壊だった。
1970年代はインフレの加速。
1980年代はディスインフレ的な成長。
1990年代はバブルへ向かう時期。」

ダリオ氏が社内のインタビューで、過去のパラダイムの変遷を語っている。
同氏が「パラダイム」と呼ぶのは、ある時期の経済・市場を特徴づける環境のことのようだ。
この環境が10年とは限らないが、ある程度の長さを置いて入れ替わるという。
ダリオ氏は、パラダイムが市場に与える影響を説明する。

「みんなその期間に起こったことに慣れてしまう。
皮肉なことに、それらの終期には市場がその期間が継続すると織り込んでしまう。
その期間の初めにはそうではなかったのにだ。」

新たなパラダイムが始まり、新たな特徴のある環境に変わると、市場はそれに徐々に慣れていく。
市場はどんどんパラダイムを織り込んでいく。
ところが、そのパラダイムが終わると、その織り込みは間違いだったことになる。
そこで「市場は大きな調整を迎える」という。
つまり、1つのパラダイムはサプライズから始まり、そのサプライズが徐々に常識に変わっていくのだ。

問題は、パラダイムがなぜシフトするのか、永遠に続くことはないのか、だろう。
ダリオ氏は、パラダイムの背景にある力が継続しえなくなった時、パラダイム・シフトが起こると説明する。
そして、今回のパラダイムが何かを指摘する。

今回のパラダイム・シフトについて考えると、2008-09年に金利低下をともなう大規模な金融緩和政策の環境が作られた。
さらに、法人減税と大幅な利ザヤ拡大により資本主義にとって理想的な環境だった。

今回のインタビューでは、ダリオ氏は格差問題について間接的にしか触れていない。
いつもなら《格差拡大》とはっきり言うところを、今回は「株式投資家に有利で労働者にはあまり有利でない」といった言い方にとどめている。
社会・政治問題に対して抑制的な話し方をしたように見える。
先入観を誘いやすいテーマに深入りしないことによって(少なくとも投資家にとっては)同氏の主張の凄味が増しているようだ。

「投資家はみんな多すぎるお金を抱えて投資先を追い求めなければならず、これが将来のリターンを押し下げた。」

ダリオ氏は、金融緩和の中で実施された金融資産買入れが資産価格を上昇させたと指摘する。
金融緩和は世界に資本を溢れさせた。
ファンダメンタルズよりも資産価格の方が大きく押し上げられたから、将来のリターンは逆に低下した。

ダリオ氏は、現在のパラダイムを支えてきた力が継続しえない、外挿できない時点に差し掛かったと主張する。

同じ規模の利下げも、法人減税も、同じような利ザヤ拡大も考えにくい。
今、これらが外挿できないことがかなり確かな時点に到達した。
だから、パラダイム・シフトに近づいているんだ。


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