パウエル議長の2つの失敗:ガンドラック

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、昨日のFOMCについてCNBCに二言コメントした。
FRBの金融政策正常化がオーバー・ペースになることを心配している。


パウエルFRB議長は2点で間違った:
1) 自動操縦の量的引き締め
2) 過度な経済『モデル』への言及

1)の危機感については容易に想像できる。
ガンドラック氏は従前、QE開始後の米株価がFRBのバランスシートの大きさと同期していると指摘していた。
だから、その巻き戻しは株価下落を暗示する。
資産効果が強く効きやすい米経済では、株価下落は経済に小さからぬ悪影響を及ぼすだろう。
同様の危機感は最近、スタンリー・ドラッケンミラー氏も漏らしていた。


どういうわけか、FRB利上げについては盛んに市場関係者が予想合戦に明け暮れている。
彼らの前提は、利上げが自動操縦ではなくFRBの裁量次第ということなのだろう。
ところが、10月から静かに始まった量的引き締めについては、毎月同額ずつ予定通り継続することが信じられているようだ。
仮に量的引き締めが市場にマイナスで、かつ自動操縦で進むなら、利上げが多少変更されようと、大きな動揺は避けられないのかもしれない。
ガンドラック氏はそのリスクを指摘しているのだ。

一方、2)の経済モデルについてはどうだろう。
ガンドラック氏がこれまで明確にFRBの経済モデルについてコメントしたという印象はない。
しかし、市場関係者からは、FRBの経済モデルは象牙の塔にこもった学者の机上の空論との批判が少なくない。
ガンドラック氏も同様の思いを抱いていてもおかしくない。
実際、先日のCNBCインタビューでもこうした発言があった。

「FRBは700名ものPh.D保有のエコノミストを抱えており、これは驚く数字だ。
しかし、彼らは2006年のローンの問題を見ていなかった。」

現在でも、経済学者から言わせれば、米経済は極めて好調ということになる。
彼らが伝統的に見ている経済指標が良好だからだ。
しかし、それは必ずしも金融取引の現状や経済主体の心理を十分に取り込めていない。
金融機関はいまだに彼らのモデルでは《摩擦》に毛の生えた程度の存在でしかない。
昨今の金融経済の影響力を考えれば、金融経済が摩擦や毛ですむものであるはずがない。

こうした文脈から考えれば、ガンドラック氏の思いは想像がつく。
パウエル議長が過度に経済学者の経済モデルに依存するのが望ましくないと考えているのだろう。
それが、債務サイクルや市場心理を軽視した判断に結びつきかねないからだ。


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