海外経済

バーナンキ:「失われた」金融緩和の取り戻し方
2017年4月25日

物価水準目標

現在の2%の物価目標が2%に達するか否かに注目しているのに対して、「物価水準目標」では時間平均した物価に目標を設定する。
「例えば、物価上昇率がある期間2%を下回った場合、FRBはそれを補うために全期間の平均物価上昇率が2%に戻るまで物価上昇率が2%超になるようにする。」
これは、リフレ派が以前から囁いていた主張だ。


バーナンキ氏は物価水準目標の利点を2点指摘する:

  • FRBの使命の1つである物価の安定と(物価目標引上げより)よく整合する。
  • 後述の「埋め合わせ」政策と似ている。

一方で、この手法の課題は、一時的な物価上昇に対しても反応せざるを得ない点だという。
原油価格の一時的上昇など必ずしも趨勢的物価水準との関係が強くないと思われる物価上昇でも、時間平均の物価が2%を超えてしまうと金融を引き締めなければならなくなるからだ。

「埋め合わせ」政策

「埋め合わせ」政策(“make-up” strategy)では、ゼロ金利制約に陥った場合、それを補うためにゼロ金利制約脱出後も低金利を長く続けるとコミットする。
この手法は物価水準目標と似ており、かつ、相反するものでもない。
物価水準目標が物価のオーバーシュートを許すトリガーは低い時間平均物価上昇率だ。
一方で、埋め合わせ戦略では、ゼロ金利制約に陥ったことがトリガーとなり、その過酷さに応じてオーバーシュートの期間を決定する。

カイリーらのシミュレーションでは、この手法はゼロ金利制約の発生確率・コストを減らし、物価上昇率を2%に維持しやすいとの結果が得られたという。
一方の欠点は、中央銀行が埋め合わせ政策をコミット通り実行するとの信認が得られないと効果も得られない点だという。
バーナンキ氏は、FRBがこれまでフォワード・ガイダンスで上げてきた実績を挙げ、うまく使いこなせるだろうと期待する。

(次ページ: 重い日本の課題)


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