ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイがバンク・オブ・アメリカ株を8億ドル超買い増し、持分比率を11%超とした。
バークシャーによるBOAへの投資は2011年に遡る。
サブプライム問題で財務が悪化していたBOAを支援するため、50億ドルを優先株とワラントの形で出資した。
当時バークシャーはゴールドマン・サックス等に同じ趣旨の投資を行っており、他の例と同様、BOA投資も良好なリターンを挙げてきた。
バークシャーの銀行株投資といえば、かつてはウェルズ・ファーゴ株が有名だ。
しかし、同行は2016年に大量の不正行為が発覚。
バフェット氏もかつてほど同銘柄に積極的ではなくなっていた。
ただし、同氏は銀行株への自信を失ったわけではなかった。
ウェルズ・ファーゴに代わってお気に入りになったのがBOAであり、バークシャーの保有株の中でもAppleに次ぐ第2位の投資残となっていた。
昨年7月にはバークシャーのBOA持分は10%を超えた。
その後、持分が10%超となることについてFRBの承認を求めている。
銀行経営に口を出さない純投資だとして、さらに追加投資する可能性も示していた。
BOA株価とS&P500金融株インデックス
いわば手ぐすねを引いていた時にやってきたのがコロナ・ショックだ。
コロナ・ショックでは金融株全般が下げており、BOAの下げは業種別指数よりきつい。
リーマン危機後のチャンスが再来したと期待させる展開だったろう。
荒い経験則をいうなら、銀行株とは景気が底を打ち、金利が上昇を始め、イールド・カーブの傾きが大きくなるとの期待とともに上昇するものだ。
投資時期が早すぎれば収益悪化による痛手を負うし、遅すぎればチャンスを見過ごしかねない。
バフェット氏が銀行株を買い増したとのニュースは、景気サイクルの局面を暗示していると受け取られるかもしれない。
コロナ・ショックでは、航空株で損切りするなど、やや精彩を欠いたバフェット氏。
銀行株では二匹目のどじょうを見事すくい上げることができるだろうか。