バリー・アイケングリーン:もうやれることがない

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IMFのシニア政策アドバイザーなどを務めたUC BercleyのBarry Eichengreen教授が、次の景気後退期に米国がやれることを棚卸ししている。
皆が大胆にやれることをやってしまったがゆえに、もはやほとんどやれることが残っていないのだという。


「屋根の点検をするのは晴れの日がいい。
・・・
今こそ次の不況への準備ができているか点検すべき時だ。」

アイケングリーン教授がProject Syndicateで書いている。
米国は不況への備えができていないというのが教授の答だ。
本来なら不況到来時に繰り出すべき政策手段のほとんどがすでに講じられてしまっているからだ。
教授は採りうる政策手段を棚卸ししている。


  • 利下げ: 年末になっても利下げ余地は2%程度
    過去3回の不況期、FRB利上げは計5%近く必要だった。
  • QEとマイナス金利政策: 政治的反発がある
    メンバー入替後のFRB、米議会では、QEなど非伝統的金融政策に後ろ向きになるだろう。
  • 財政政策: 好景気なのに実施してしまった
    今後、議会共和党は財政政策を打つのではなく、財政悪化回避との理屈で逆に歳出削減に動きかねない。
    社会保障が削減され、消費性向の高い豊かでない層が困窮し、総需要を減少させる。
  • 諸外国の刺激策: どこも事情は似ており望み薄
    日欧も利下げ余地はなく、ドイツが緊縮を続ければユーロ圏各国が財政出動に動くとは考えにくい。
  • 国際協力: 米国と諸外国の信頼関係が悪化している
    「アメリカ第一」主義の中で、国際協力の機運は薄れた。

アイケングリーン教授は次の不況について、いつどのようにやって来て、どの程度のどのような不況となるかは予想できないと言う。
しかし、一つ確かなのは景気拡張が永遠には続かないことだと言う。

「嵐は必ず来る。
嵐が来た時、米国にほとんど豪雨への備えがないことが明らかになる。」


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