ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、挫けずバリュー株アウトパフォームを予想し、その理由を説明している。
NASDAQとテクノロジーは買われすぎていたから、これは健全な調整だ。
NASDAQが10%超下げたが、S&P 500は調整さえしていない。
S&P 500(の下げ)はもっと小さい。
バリュー株はまだ1-2%下げただけだ。
シーゲル教授がCNBCで、先週まで3週続けて下げたNASDAQについて尋ねられて答えた。
米市場では概ね10%以上下げたところで調整と呼ぶが、NASDAQはこの定義で「調整」になったところだ。
テクノロジーの比重の大きいNASDAQは、これまでの上げも大きかったから、下げも大きくなりがちだ。
教授は、9月が下げやすい月であること、これまで史上最大の上げ相場だったことを指摘。
今回の調整は予想されていたと話した。
前回グロース株とバリュー株がここまで極端に開いたのは1999年だ。
その前はおそらく1975年のニフティ・フィフティの熱狂だろう。
実に20−25年の時間の話だ。
20年近くアンダーパフォームを続けてきたバリュー株だが、シーゲル教授は従前よりバリュー株のアウトパフォームが近いと予想している。
来年あたりに変化が起こるとする根拠は2つ:
- 来年経済が再始動し、相対的にバリューが優位な環境になる。
- ゼロ金利の中で利回り追求が起こり、高配当のバリュー株に目が向く。
シーゲル教授はマクロの専門家だが、キャスターは有望な投資対象についても質問している。
教授は「特定のセクターの推奨はしない」と言いながら、いくつかのセクターについてコメントしている。
いずれも現在厳しい環境にあるセクターだ。
- 商業用不動産(恒久的なダメージになりうる)
- 銀行(小企業の状況を反映する)
- エンターテインメント
- 航空業界
シーゲル教授はこれらセクターに控えめのトーンで言及した。
これらセクターから個別銘柄を用心深く検討すべきというニュアンスのようだ。
ウィルス問題が改善すればセクターも改善するのだろうが、それまで生き残れない銘柄はもちろん問題外ということだろう。
ゼロ金利が続く中で、利回りが良く、利回りに脅威のない銘柄は今後12−18か月、投資家の物色の的となろう。
米国債利回り0.5%では必要とするインカムを得ることができないから、こうしたセクターへの流入が起こるだろう。
現在ほとんどすべての先進国で金融抑圧の状態にある。
(ゼロ金利では、デフレでない限り金融抑圧になってしまう。)
金融抑圧とはずいぶん大げさな言葉のように響くが、実際に生活者、とりわけ年金生活者にとっては過酷な状態だ。
かつてはリスクフリー資産に置いておくだけで老後が安泰だった人も、価格下落リスクのある商品にまで手を伸ばさざるをえなくなる。
個人でも年金基金でもそうした変化が起こってきたが、これがハッピーエンドになる保証はもちろんない。
多くの人が投資に失敗し貧しくなれば、それにより政府の社会保障負担が増える可能性も否定しきれない。
社会として必要だから行われている金融抑圧だが、長い期間経ってみないと成否はわからない。
そういう連想は、現在の株高の背景にあるインフレ懸念をいっそう駆り立てるかもしれない。
シーゲル教授は市場環境が健全と言ったが、もちろん波乱要因もあると考えている。
大統領選が近づいていることに言及せざるをえない。
それにより選挙まで2か月不確実性がなくならない。