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バラまきは永遠に:マーク・ファーバー

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が米国株市場について、ピークから50%、場合によっては70%の下落を予想した。


グランド・キャニオンみたいだ。
とても深いところまで下っていくだろう。

ファーバー氏がThe Income Generation Showで、いつものように笑えない言い回しを使った。
多くの人が苦しむ市場下落について、なぜ笑顔でこんなことを言うのか。
それがこの人の欠点でもあり、持ち味でもある。
《終末博士》の弱気は健在で、最近の急落でいっそう元気になったようにさえ見える。
(ちなみに、ファーバー氏は基本的にロング・オンリーの投資家だ。)

ファーバー氏は、S&P 500がピークから少なくとも50%下がると予想し、70%下げても驚かないと話した。
S&P 500指数の高値は2月の3,393.52。
50%下げるなら1,700弱、70%下げるなら1,000強となる。
20日終値は2,304.92だから、いかに弱気予想かがうかがえる。

「私も株・債券などを保有しており(下落は)いやだ。
でも、現在の市場の後退はデレバレッジによるもので、信用の内爆が起こっており、すべてが下げている。」

コロナ・ウィルスへの政策対応についてコメントを求められると、ファーバー氏は少しピントがずれているような答を返している。

「長年FRBは・・・システムに流動性を持たせてきた。
私は(昨年9月からの)レポ市場への介入は普通の人を救うためのものではなく、不利なポジションをとっていた大手ヘッジ・ファンドを救済するためのものだったと考えている。
完全に間違いだったと考えており、FRBは弾薬を使い果たした。」

なぜピントがずれたように聞こえるのか。
それは、ファーバー氏が考える問題の本質がウィルスではなく、金融緩和が助長した過度なレバレッジであるためだろう。
さらに、金融政策とウィルスとは直接関係するものではない。

「私たちには明らかにコロナウィルスというトリガーがあった。
FRBの政策がコロナウィルスの問題を解決することはない。」

ウィルスはトリガーにすぎず、背景に存在するより大きな問題があった。
その問題を抱えている中で、畑違いのウィルス問題を契機にFRBは大きな追加緩和を行った。
これがさらなる危機拡大時に必要となる弾薬を奪ってしまったかもしれない。
しかも、追加緩和は、背景に存在する大きな問題を助長する方向の政策だ。

2008年からの回復における1つの問題は、金利を長期間低位に保ち、QEによってレバレッジが高まり、ゾンビ企業が温存されたことだった。
その時に(退出すべき)企業や国家は退出すべきだった。

拡張的な金融・財政政策がゾンビ企業を生き永らえさせる要因になるとの指摘はもはやコンセンサスだ。
これは潜在的な成長力を削ぎ、デフレ圧力にさえなると指摘されている。
ファーバー氏が言うように、もっと前に退出させるべきだったのだろう。

最近、ポール・クルーグマン教授は「停滞期は企業を淘汰すべき時ではない」と指摘した。
これは完全に正しい。
しかし、厳しい現実社会においては、淘汰とは往々にして停滞期に多く起こる。
ここで問題が2つある。
ゾンビ企業を今淘汰すべきか。
景気の良い間に淘汰を済ませるためにはどうすればよかったのか。

ファーバー氏は、各国が検討するヘリコプター・マネー的な財政政策についても警鐘を鳴らす。
ここでも、笑えない皮肉をちりばめている。

一たび米国で1,000ドルずつ(家計に)小切手を送り始めたら、それは一時的でなく恒久的なものになるだろう。
今後100年、毎月やり続けなければならなくなる。
その前に(政府が)破綻するけどね。


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