バブル発生・崩壊は人間の本性:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授がバブルについて語っている。
ほんの20年前まで、経済学はバブルを敬遠していたのだという。


2000年当時のバブルの概念はまだ専門家のものではなかった。
学会で扱われることはなく、新聞記者が引用するような言葉だった。
バブルは新聞には書かれるが、学術的な仕事では扱われなかった。

シラー教授がUBSのビデオでバブルに対する経済学の取り組みについて語った。
たった20年前には、経済学はバブルを大きなテーマと考えていなかった節がある。
それには理由があろう。
日本は1989年の日経平均の最高値を境に深刻なバブル崩壊に悩まされ続けた。
それに対して米国の痛みは格段に小さかった。
1987年のブラックマンデーで大暴落を経験したもののすぐさま立ち直り、1990年代、米市場は順調に上昇を続けたのだ。
こうした環境ではバブルについて注目が集まらないのも無理はない。

注目されなくてもバブルはいつも発生しうる。
シラー教授は、バブルには人間の本性があらわれているという:

「価格が上昇を始めれば人は興奮し、殺到して買う者があらわれ、価格がさらに上がり、これがしばらく続くが、持続可能ではない。
永遠には続かず、弾ける運命にある。」

この普遍的とも思える人間の営みについての研究が、2000年には十分とはいえない状況にあった。
むしろ、学者らは意図して敬遠していたようにさえ見えたのだ。

「たくさんの学者が、これについて発言しないでいようとしているのを感じた。
だから、私はある意味そうするリスクをとりにいったんだ。」


シラー教授が有名な著書『根拠なき熱狂』(amazon)を上梓したのがまさに2000年。
ドットコム・バブル崩壊の年だ。
それまでの経済学が十分に取り組めていないバブルというテーマに、シラー教授が行動経済学と実証研究を武器に切り込んだのだ。

シラー教授はその次のバブルについても回想している。
サブプライム/リーマン危機と世界金融危機につながった米住宅バブルだ。
2006年、実質住宅価格が半値に落ちる可能性があると記者に話したのだという。

「記者はその日、後になって電話をかけて来て、その発言を使うと言った。
『半値になるのをみんな望んでいると思いますか。』
私は考えて答えた。
『私は本気でそう予想しているんだよ。
だから、そう書いてくれ。』」

バブルに慣れていなかったのは経済学だけでなく、メディアもまたそうだったようだ。
バブルをどう捉えどう伝えるべきか、米社会は2度の大きなバブルで学んできたのかもしれない。

ちなみに、シラー教授の予想はどうなったか。

「実際のところ価格は45%しか落ちなかった。
予想した半値にはいかなかったが、かなり近かったんだ。」

バブル崩壊の下落をこの誤差で言い当てれば立派なものだ。
そのシラー教授が、年初には米国株市場について「大幅下落のリスクがある」と話している。
自己実現しなければよいが・・・


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