バフェット:米経済の奇跡は始まったばかり

オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏が、米国の経済的繁栄への確信を強調した。
一方で、全体のパイが拡大しても喜ぶべきではなく、格差拡大を助長しない社会を目指すべきと説いている。


この経済の奇跡はまだ序盤だ。
アメリカ人は将来、より多くすばらしいものを享受するだろう。
難題なのは、この恩恵をどうやって奪っている者だけでなく奪われている者の生活向上のために届けるかだ。
多くのアメリカ人は当然のことにこれを心配している。

バフェット氏はTimeへの寄稿で書いている。
同氏の米経済・市場への強気姿勢は揺らがない。
永く永く米経済が拡大を続け米市場が上昇していくと信じている。

バフェット氏の計算はこうだ。
人口の自然増が年0.5%以下、移民による増加が年0.3%とすると、米人口は年0.8%程度の増加が見込めるという。
今後の実質GDP成長率を2%と仮定すると、1人あたりGDP成長率は1.2%になる。

「一世代=25年のうちには年率1.2%成長は現在の59,000ドルの1人あたりGDPを79,000ドルに増やす。
この20,000ドルの増加は、私たちの子どもたちの生活をはるかに豊かにするだろう。」

バフェット氏は人口動態に仮定を置いた試算から1.2%の1人あたりGDP成長率を弾き出している。
そして、実質1.2%という数字は決して悪くないと考えているのだ。
しかし、2%や1.2%という数字は、過去の水準と比べ見劣りするのが否めない。


米実質GDP(青)と1人あたり実質GDP(赤)の成長率
米実質GDP(青)と1人あたり実質GDP(赤)の成長率

こうした計算を是とするなら、米国より先に高齢化し偏狭な移民政策を継続するであろう日本のハードルは下がる。
2017年4月時点の国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、今後50年、日本の人口は年率0.7%前後の減少が予想されている。
1.2%の1人あたりGDP成長を目指すなら、実質GDPの伸びは年率0.5%でよいことになる。
低成長を前提とする経済運営と言えようか。

とにかくバフェット氏は、1.2%成長が豊かさをもたらすと言っている。
しかし、それらは全体のパイの話にすぎない。
バランスのとれた分配なくして、社会全体の幸福は向上しない。

「1982年の最初の番付から今日までで(Forbesによる世界の)富豪400名の富は930億ドルから2.7兆ドルへ29倍に拡大した。
一方で何百万人もの激務に耐える市民は、経済の回し車の中に囚われたままだ。
この期間、富の津波はトリクルダウンすることがなく、逆にさかのぼった。」


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