
バイロン・ウィーンの8つの指標
Blackstone Advisory PartnersのByron R. Wien氏が月例の市場コメンタリーで追い風の市場・経済環境を説明した。
景気後退を示す指標は見られず、条件付きでリスク・オンにGoサインを出している。
「現在報告されているデータから、経済のモメンタムへの自信が高まりつつあるのは明らかだ。」
ウィーン氏は最近の市場心理の目覚ましい改善を確認している。
とりわけ欧州各国では経済回復が鮮明で、市場心理改善に一役買っているという。
ウィーン氏は良好な市場・経済環境をもたらした主要因を2つ挙げている。
- 中央銀行から供給された豊富な流動性:
FRB、BOE、ECB、日銀のバランスシートは2008年の計3兆ドルから14超ドルまで拡大した。
ウィーン氏によれば、この流動性は1/4が実体経済に向かい景気を刺激し、残り3/4は金融資産に向かい高PER・低金利をもたらしたという。 - 中国の高成長:
中国の輸入が先進国・途上国の経済の助けになった。
ウィーン氏はこうした追い風が今後も続くか自問し、8つの指標を注視していると明かす。
- 米イールド・カーブ: 70bpの10年-2年スプレッドは要注意領域
「逆ザヤ化までは少なくとも1年はあろう。
もしもそうなれば、その時市場が急騰することもありうるものの、逆ザヤは常に弱気相場と景気後退到来のシグナルとなる。」 - 先行経済指標指数: 現在はとても良好
この指数は景気後退の1-2年前にモメンタムを失うのが通常という。 - 企業収益: 現在急上昇中。
伸びが低下するようなら要注意という。 - 在庫: 景気後退の前には在庫が積み上がり受注が減る
- 投資家心理: 楽観的だが熱狂はしていない
強気相場の終わりには通常個人投資家の熱狂が見られるものだという。 - FRB金融引き締め: 緩やかなペース
- インフレ: 落ち着いている
有害なほど上昇すれば金融引き締めが加速してしまう。 - 平均時給: インフレの先行きを占うのに有用
現在は年率2.5%の伸びで、危険域は4%とまだ遠い。
ウィーン氏が注視する8つの指標はいずれも急な景気後退を指し示していない。
これが、同氏の強気の根拠である。
(地政学的リスクなどの)実現を市場は織り込んでいない。
市場が正しいならば、深刻な問題まで少なくとも1-2年はある。
私の結論は、米国外に投資機会が多く存在し、ポートフォリオ・マネージャーの多くで外国投資への配分が過小となっているということだ。
楽観を忘れないウィーン氏がこう書く背景には、米国内の投資機会は要注意との思いがあるのだろう。