バイロン・ウィーンのラジカル・ポートフォリオ(2019年10月)

ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏とジョー・ザイドル氏による10月のウェブキャスト第2報: ウィーン氏がややスタンスを慎重に変化させた様子が見受けられた。


これが配当割引モデル(DDM)の表だ。
この表は、株式と債券が競合すると仮定したものだ。
現在の株価はとても魅力的な領域にある。

ウィーン氏がいつも使っているDDMの表をウェブキャストで示し、現在の株価が割安であると語った。
この表は、S&P 500のEPSと米10年債利回りからS&P 500指数の理論値を計算したものだ。
ウィーン氏は、現在の低金利の下で同指数は3,000をゆうに超えていておかしくないと話した。

「現在の金利水準では、市場は高い株価倍率を支持することになる。
現在PERは18倍程度だが、これは2000年のような過大な値付けにはなっていない。」

健全な強気を継続してきたウィーン氏だが、この日は少しだけ慎重なスタンスがうかがわれた。
「株式と債券が競合すると仮定」だとか、「現在の金利水準では」とか、丁寧に前提条件を付して話したのだ。
その背景には、株価を考える上での前提となる金利の方に歪みがあると考えている点がある。

過去10年に生み出された過剰流動性のために(金利が)歪められていると考えている。
・・・それがソブリン債務に向かっている。

金融政策によって市場金利が歪められ、市場が決めるべき水準より低位にあるという考えだ。
これは株式市場にも波及し、本来用いるべき割引率より低い割引率で理論株価が算定されてしまう。
ウィーン氏はそれを理解した上で、現状を前提に株価を予想せざるをえないのだ。

ウィーン氏の慎重姿勢は、いわゆる「『ラディカル』な資産配分」にも表れている。
同氏は「ほか米国株」への配分を15%から10%に減らし、かわりに「現金」を5%増やし15%としている。
現金への15%配分は、2011年の公表開始以来最大の配分だという。


『ラディカル』な資産配分
出典: Blackstoneウェブキャスト資料
資産クラス 今回
世界的・多国籍の米大型株 5% 利回り・倍率がフェア・バリュー
ほか米国株(ロングのみ) 10% ダウンサイド・リスク増加
欧州株(ロングのみ) 5% 成長鈍化
新興国株 10% 比較的魅力的な成長率、ドル相場安定
日本株 5% 他市場でチャンスあり
ヘッジ・ファンド(全戦略) 10% 戦略によっては魅力的
プライベート・エクイティ 10% 競争激化
不動産 10% まだチャンスがあるかも
0% 不変
天然資源・農産物コモディティ 5% 世界の生活水準は上昇
非伝統的ハイ・イールド債(メザニン、レバレッジ・ローン、新興国債務) 15% いくつかはまだ魅力的。デュレーションより信用のリスクをとりたい
現金 15% 短期的なチャンスを狙うための余資

ウィーン氏はこの変更について前向きな説明をしている。
リスクに備えてリスク・テイクを減らし、その資金をリスク顕在化後のチャンスに生かそうという説明だ。

(米)市場は問題の多い環境でもよく上がってきた。・・・
来年に向けてやってくるかもしれないチャンスのためにもう少し手許現金を増やしたい。
リスクは存在する。・・・
危険が潜んでいるのは理解している。


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