バイロン・ウィーンのラジカル・ポートフォリオ(2019年4月)

Blackstoneのバイロン・ウィーン氏が、米国株市場の年初来の上昇と今後の見通しを語った。
強気予想ではあるが、その中身はかなり慎重な内容となっている。


年初、市場はPER 15倍弱と割安で市場心理もとても悪かった。
そこに、力強い市場の上昇にとって理想的な条件が整った。

ウィーン氏がウェブキャストで、第1四半期の米国株市場上昇の背景を語った。
同氏は年初恒例の「10のサプライズ」でS&P 500指数が年内に15%上昇すると予想していた。
しかし、この数字は第1四半期だけでほぼ達成されてしまったのだ。
10のサプライズの最初の2つ:
 1. FRBが利上げを停止
 2. S&P 500は15%の上昇
は今のところ順調に推移している。

この2点についてウィーン氏は今後どうなると予想しているのか。
FRB利上げについては年内には行われず、米国株の上げ余地は小さくなると話している。

今では市場では目いっぱいの値が付き、心理も熱狂的ではないが楽観的になった。
・・・
先行き調整が入る可能性がある。
それでも(通年で)15%は実現するだろう。
しかし、通年で見て30%、あるいは20%とはならないだろう。

ウィーン氏の年初の「サプライズ」は当時としては突出して楽観的と見られていた。
しかし、それが見事的中しつつある。
それでもウィーン氏は通年予想について上方修正をしない。
景気と企業収益への冷静な予想がそうさせている。

ウィーン氏は景気後退の前兆として4つの指標を挙げる。
まだ心配しなくていいのは平均時給の伸びとイールド・カーブだ。
平均時給の上昇は3.4%と緩やかで、インフレや金融引き締めの引き金となる4%には届いていない。
イールド・カーブは10年/3か月で一時逆転したが、騙しだろうという。
より重要な10年/2年では逆転していない。
一方、黄信号なのは景気先行指標と市場心理だ。
景気先行指標は足元では回復が見られるが、少し前には悪化の兆しも見られていた。
市場心理はまだ熱狂とまではいかないが、少し改善している。

ウィーン氏によれば、景気がなんとか踏み留まる中、企業収益も鈍化こそすれ成長を続けているという。


「概してS&P 500企業は利益をプラス成長させる力を維持するだろう。
昨年のような20%アップではなく、今年は5%アップだ。
経済も企業収益もまだ成長している。」

つまり、企業収益は拡大しているが、その増加率は低減している。
だから、足元までが好調でも、年の終わりまで多くを望むなとウィーン氏は言いたいのだ。
また、この見方はFRB金融政策も勘案したもののようだ。

「私たちは、経済が年後半に回復に向かうと見ている。
だから、私たちが見る限り、利下げより利上げの可能性が高いだろう。」

FRBが経済を過熱させるリスクを取らないだろうという考えは、少し前までのゴルディロックス相場の真逆の感覚だ。
みながゴルディロックスに依存していた頃、市場が下げれば中央銀行が金融緩和で助けてくれるとの安心感が広がった。
今では、景気・市場が過熱すればFRBがそれを防ぐとの連想が無視できない。
かつては市場にフロアがあったのが、今ではシーリングができたようなものだ。
この変化の背景には、現実に経済がすでにある程度回復したとの認識があろうのだろう。

バイロン・ウィーンのラジカル・ポートフォリオ

資産クラス 今回
世界的・多国籍の米大型株 5% 利回り・倍率がフェア・バリュー
ほか米国株(ロングのみ) 15% 魅力的なバリュエーション
欧州株(ロングのみ) 5% 成長鈍化
新興国株 10% 比較的魅力的な成長率、ドル相場安定
日本株 5% 他市場でチャンスあり
ヘッジ・ファンド(全戦略) 10% 戦略によっては魅力的
プライベート・エクイティ 10% 競争激化
不動産 10% まだチャンスがあるかも
0% 不変
天然資源・農産物コモディティ 5% 世界の生活水準は上昇
非伝統的ハイ・イールド債(メザニン、レバレッジ・ローン、新興国債務) 15% いくつかはまだ魅力的。デュレーションより信用のリスクをとりたい
現金 10% 短期的なチャンスを狙うための余資
出典: Blackstoneウェブキャスト資料

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