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バイナリーな将来に対する投資推奨:ジェフリー・ガンドラック
2020年8月6日

ジェフリー・ガンドラック氏のValuetainment Economicsインタビュー第3弾: バイナリーな将来に対する投資推奨が語られている。


金融メディアのような答え方をするのは好きじゃない。・・・
私はその答(「分散しろ」)が嫌いだ。
それは、過酷な時期を通して顧客に辛抱を求めるものだからだ。

視聴者への投資推奨を求められ、ガンドラック氏が重い口を開いた。

最近のガンドラック氏はあまり断定的な予想を語らなくなった。
同氏が数々の予想をタイミングよく的中させ《新債券王》と呼ばれるようになった時、市場は市場の論理で動いていた。
しかし、今では多くの市場が統制市場の様相を呈している。
何かを予想しても、政府・中央銀行が人為的に結果を変えてしまうのだ。
これでは市場を予想するのではなく、人為的操作を予想するしかなくなってしまう。

今回のケースでは結果はバイナリーになる。
収用、(ドルの)価値低下、またはその両方であり、実際にはほぼ政策上の判断になる。
これら選択肢のうちの1つは、礼節ある社会において少なくとも真剣に議論を始めなければならないところまで来ている。

現状の政策を延長していくなら、ドルの価値の低下が起こる。
これは、積極的な意思をともなわない、成り行き任せの道だ。
ガンドラック氏が議論をすべきというのはもう一方の「収用」だろう。
つまり、国民が受け取るはずだった社会保障等の恩恵の一部を実質的に取り上げる部分的デフォルトだ。
今後の投資とは、政府・中央銀行の作為または不作為によって大きく結果が左右されることになる。

この不確実性に対処するために、ガンドラック氏は投資家に分散ではなくバーベル戦略を推奨している。

価値低下を生き残るモノ、ハード・アセットを保有しないといけない。
株式を保有する理由とは、少なくともあらゆるものの値段に2つゼロが加わったとしても、株価にもゼロが2つ加わるだろうと推測されるからだ。

「収用」による財政再建が図られる場合、ハード・アセットは振るわないだろうが、株式が稼いでくれるかもしれない。
「価値低下」の場合、特にハード・アセットが傷を浅くしてくれるかもしれない。

ガンドラック氏は株式を保有すべきと奨めながら、同時に米国株市場の脆弱性を心配している。

  • PERは「鼻血が出るような水準」。
  • 過去5年間の利益成長は大手6社によるもの。
  • 株価上昇に広がりがない。
  • 減税がなければ利益は減少していた。
  • バイデン大統領なら増税になる。

これほど説得力のある弱気材料を挙げながらも、ガンドラック氏は株式の組み込みを奨めている。

「株価はいつでも操作されうる。
FRBは社債市場を操作した。
真正の貨幣増発が実行されない場合、(価格)操作なしでは株式市場は深刻な問題に陥るだろう。」

皮肉なことに、ガンドラック氏をしても、FRBによる株価サポートが今後も続くと予想しているようだ。
同氏はバーベル戦略について語り終えると、自身の推奨の限界に言及している。

「これは一般の投資家にとってとても良いアドバイスではない。
一般の投資家には貯蓄がないんだから。・・・
50ドル分買うことはできるだろうが、50ドルだけでは豊かにはなれない。」

元手をほとんど持たない人が地に足の着いた利回りで財産を築くのは極めて難しい。
ある程度の財産を築くのは何か僥倖に恵まれない限り不可能だが、それは計算できない。
逆に、地に足の着かない利回りを求めるなら、なおさら人生を危うくしてしまう。

ガンドラック氏は、株価が上昇していた6月8日の金融メディアでのある出演者の発言を紹介した。

「『私は4月、弱気だった、間違った、弱気すぎた、保守的すぎた。
再評価を行い、今がキャリア最良の買いのチャンスだと考えている。』」

ガンドラック氏は録画を何度も見直したのだという。
(同氏が見直すほどだから、おそらく高名な人物だったのだろう。
例えば、スタンリー・ドラッケンミラー氏クラスの人物ではないか。)
ガンドラック氏には、その発言が信じられなかったのだ。

PERが25倍の今が、本当にPERが1桁だった2009年3月より良い買いのチャンスなのか。
この種のメンタリティは、後に身をもって思い知ることになるだろう。


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