海外経済 政治

バイデンのインフラ計画は経済成長志向:モハメド・エラリアン
2021年4月1日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、バイデン大統領の2兆ドル超規模のインフラ計画について、その狙いとインフレへの影響をコメントした。


この政策は、経済成長に関して需要から供給側へのシフトを示している。
これは良いことだ。
生産性の向上が必要であり、この政策は物理的、人的な生産性の両方を向上させることを目標にしている。

エラリアン氏がBloombergで、バイデン大統領が発表した2兆ドル超規模のインフラ計画についてコメントした。
これまでの財政出動が、家計・企業の救済や消滅した需要を補う性格が強かったのに対し、今回のインフラ計画は生産性向上に重点が置かれている点を称賛した。

もしも、上手に計画された、ここが本当に重要だが、上手に計画されたインフラ政策が生産性を向上させることができれば、民間部門はネットで恩恵を受けることになる。

エラリアン氏のこの一文には2つのメッセージが込められているのだろう:

  • インフラ投資はコストより多くのベネフィットを上げる可能性があり、それを目指すべき。
  • そのために、お金の使い道が極めて重要であり、もちろん安易なバラマキなどあってはいけない。

こうした認識は万国共通なのだろうし、裏を返せば、いかに拙い、あるいは悪質な歳出が多いかを示しているのだろう。

エラリアン氏は、大統領が示した財源についても言及している。

財源が必要になるが、法人税に重点を置くことは最も経済成長志向といえる。
家計への課税に重点をおくと、需要を削いでしまう。
正直にいえば、法人税(が増える分)は自社株買いにあてられていた資金であり、経済成長にあまり大きな影響を及ぼさないはずだ。
私はこの政策をとても経済成長志向な生産性についての革命的政策だと考えている。

トランプ政権が法人税率を35%から21%へ引き下げた時、サプライサイダーたちは絶賛した。
これで経済が停滞を脱するといった具合だった。
もちろん減税をすれば懐が温まる納税者も多くいる。
問題は、その恩恵・効果が経済全体に十分波及するかだ。

エラリアン氏は、トランプ政権による法人減税が期待したほどの成果を上げなかったと結論している。

投資が振るわなかった理由は税率ではなかったからだ。
現実には、減税で起こったのは莫大な自社株買いだった。
お金は株主に戻り、実体経済には向かなかった。

バイデン大統領は21%の法人税率を28%まで戻そうとしている。
エラリアン氏は、法人増税に財源を求める考え方を「経済成長志向(Pro-growth)」と評価している。
多くの人たちのロジックとは真逆の言い回しだ。

蛮勇を奮って日本の文脈で言うなら、
《法人増税+消費減税をすれば経済成長に資する》
といった具合だろうか。
やや抵抗のある響きになる。
法人増税でも経済がたいして悪化しないとの主張は、企業にお金を残しても経済成長に資するような使い方をしてこなかった企業への不満を表しているのだろう。

このインフラ計画のインフレへのインプリケーションを尋ねられると、エラリアン氏は、足元で想定される3つのインフレの要因を解説した。

  • ベース効果: コロナ禍が最も過酷でデフレとなった昨年の反動。
  • タイミングのずれ: 短期サイクルでは需要の急増に供給が追い付けない場合がある。
  • コスト・プッシュ: 投入物の価格上昇、物流。

エラリアン氏は、前の2つは時間が解決してくれるものとして重大視しない。
一方、3つめの要因は市場を混乱させうるものとして要注意と語っている。


-海外経済, 政治
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。