海外経済 投資

ニューノーマル2.0にしてはいけない:モハメド・エラリアン
2020年5月16日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米国のマイナス金利政策と今後求められる政策について語っている。


何を目的にするかによる。
資産価格、不動産価格(押し上げ)を目的とするならマイナス金利政策をやればいい。
しかし、経済(刺激)を目的とするならたいした影響はないし、コラテラル・ダメージと意図せぬ帰結に対処しなければならなくなる。

エラリアン氏がCNBCで、目下米市場の関心の的となっているマイナス金利政策採用の是非について問われた。
現実にCMEのFFファンド先物にはマイナス金利を織り込む兆候が出始めている。
質問者は、米ドルがかなり強い状況であることも踏まえ、さらなる利下げも考えうるのかと尋ねたもの。

含みを残しならがらも、エラリアン氏の答は従前どおりNoだ。
金融緩和による資産効果が低減している一方、良からぬ副作用を生み出すことがあるという意見である。
(エラリアン氏が不動産価格に触れているのは、マイナス金利政策をFRBに求めるトランプ大統領について質問者が「不動産の人」と揶揄したことを受けたもの。)
エラリアン氏は欧州を例に、同政策は経済全体で見てコストとリスクがリターンを上回っていると指摘した。
ただし、経済の部分、部分を見れば、損をする人と得をする人がいる。
その中で、市場は概して得する側であるため、追加緩和(クレジット市場の支援とマイナス金利)を切望し続けていると解説した。

「Wの連続になる。・・・
振り子は『すべて良い』から『完全シャットダウン』に触れ、今『部分的同時的再開』に触れた。・・・
私たちがウィルスのある中での暮らし方を学ぶにしたがい、振り子は触れ続けながら振幅を小さくしていく。」

エラリアン氏が、今後の経済の回復過程を「Wの連続」と表現している。
ネチズンならば「WWW」とでも書くところだろう。

今週あたりから米国では急速に市場心理が悪化し、今やV字回復を口にする人はほとんどいない。
ただ、市場価格だけは、まだV字回復を織り込んでいると思わせる水準にある。

エラリアン氏は、政府がなすべきこととして、「戦争に勝つ」(ウィルスを封じ込め、困窮した人々を救済する)ほかに、戦後の「平和」を守ることが重要という。
・インフラ整備
・人材活用・職業訓練
・セーフティネット整備
リーマン危機後に「ニューノーマル」という概念を提唱しいち早く低成長の到来を予想したエラリアン氏は「平和」を維持することの重要性を説明している。

私たちがこれから脱する時に債務増加・生産性低下・動的需要低下となっていないようにしないといけない。
ニューノーマル2.0になってしまったら、このニューノーマル2.0は、不十分で包括的でない成長だったニューノーマル1.0よりはるかに悪いものになる。


-海外経済, 投資
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。