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ニューノーマル2.0とは?:モハメド・エラリアン

元祖「ニューノーマル」のモハメド・エラリアン氏が、コロナ後に訪れる「ニューノーマル2.0」について語っている。


『ニューノーマル2.0』では・・・ニューノーマルのすべての特徴が強まっているが不安定になっている。・・・
こうなると決まっているわけではなく、政策対応のいかんによるものの、包括的な政策対応がとられないと、経済成長のダイナミクスはさらに弱まり、生産性は下がり、格差は拡大し、金融安定はより人為的なものになる。

エラリアン氏がBloombergで、コロナ・ショック後のニューノーマル(新たな常態)について説明した。

エラリアン氏はPIMCOのCEOだった2009年「ニューノーマル」という概念を提唱し注目を浴びた。
リーマン危機後の世界が危機前の世界とは異なるものになるとのメッセージだった。
実際、危機後の経済成長は低調を続けることとなった。
しかし、それでも2017年になるとニューノーマルが終焉したと宣言している。
金融政策頼みの経済回復が限界に来たとの警告だった。
米国はその後、大規模減税など財政政策などにより、何度か金融政策依存を脱するかに見えたが、逆戻りしている。

「ニューノーマルと同じ要素だが、度が進んでいる。
度が進んでいるために、安定性の低いパラダイムになる。・・・
もしもニューノーマル2.0になってしまえば、希望どおり世界不況との戦いに勝てたとしても、平和は失われる。
平和とは、包括的で持続可能な経済成長だ。」

エラリアン氏によれば、まだニューノーマル2.0は回避可能なのだという。
必要とされる政策の内容についてはすでに広く議論されており、あとは政治のリーダーシップの問題だからだ。
エラリアン氏は必要な政策目標をいくつか列挙する。

  • 生産性向上
  • 総需要の創出
  • セーフティ・ネットの改善
  • ある程度の債務削減
  • 国際協調

エラリアン氏は、今回の危機を契機にこれらが実行されることを願っている。

ただ、国際協調が純粋に意思の問題であることを除けば、いずれの課題も簡単にクリアできるようなものではない。
この厳しい現実とは真逆に、市場は楽観を続けている。

エラリアン氏は、市場が2つのことを織り込んでるという。

  • 中央回帰: 市場は世界が元通りになると想定しているが、今回は「根本的な構造変化」も進んでいる。
  • FRBプットの継続: 資産価格とファンダメンタルズのデカップリングがFRBにより長期間維持されると信じられている。

エラリアン氏は、後者の1つの証拠としてチャールズ・シュワブの分析を紹介している。

過去20年間S&P 500と予想EPSとの間には+0.90の相関(正の相関)があったが、FRBの対応策に反応し市場が反転した3月23日以降ではそれが-0.90(負の相関)に変化しているとの主張だ。
相関係数で議論することにたいした意味はないだろう。
要は、予想EPSが下がっても、株価は上がったということだ。
1つにはエラリアン氏がいうように金融政策への依存があるのだろうし、もう1つは株式市場がさらに先のEPSを見ているという面もあるのだろう。
いずれにせよファクトだけから考えれば、市場が楽観しているというのは事実だ。

これは大きな変化であり、これが示すのは、市場が心からFRBによるくさびを信じているということ。
FRBによる資産価格とファンダメンタルズのデカップリングがかなり長い間維持されると信じているということ。・・・
だから、市場はすでに、現状についての大きな不確実性に比べてかなり良い結果を織り込んでいる。


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