ドル高継続、円を持て:ゴールドマン

ECB理事会前にユーロ/円の売りからドル/円の売りへと推奨を変えていたゴールドマン・サックスのZach Pandl氏が、Bloomberg出演で真意を語っている。
今回は、日本円についてかなり明確なスタンスを示している。


あれはとても大きな緩和パッケージだった。・・・
今日の(ドラギ総裁の)記者発表での主たるメッセージは、ECBがやれることに限界が来たということだ。

Pandl氏が13日Bloomergで、ユーロ安予想を取り下げていた理由を話した。
同氏はECB理事会の前からかなり大がかりな緩和策が講じられる可能性を覚悟していた。
その上で、ECBの追加緩和に限界が来ると予想していたのだ。
だから《Sell the fact.》の前に《Buy the rumor》していたのだ。
実際、ドラギ総裁の記者会見は本音がかなりにじみ出たものとなった。

「ドラギ総裁は、ユーロ圏での刺激策は財政政策によるのが望ましいと明言した。
・・・
金利は上昇した。
ECBはもう利下げの余地はほとんどなく、だからユーロが上昇したんだ。」

Pandl氏はユーロ相場について、上下両方のリスクが拮抗しているという。

  • ダウンサイド: ハードBrexitや世界経済鈍化
  • アップサイド: ユーロ圏での財政政策発動

最近反騰するまではユーロは1年半ほど下げてきた。
これがトランプ大統領をイラつかせている。
FRBに金融緩和を進めるようプレッシャーをかけ、為替介入さえ匂わせる。

Pandl氏は、為替介入の可能性を排除しないとしながら、現水準で発動される確率は1/5-1/4と小さいと予想する。
ただし、さらにユーロ安となれば話は少し変わってくるかもしれないという。

「ドル高が貿易や多くの重要な州の製造業に影響を及ぼしているのに米政府が失望・焦燥しているのは確かだ。
・・・
ユーロが1.05ドルを割り込むようなことになれば、介入の確率は高まるだろう。」


もっとも、ユーロ/ドルの下落はユーロだけの責任ではないはずだ。
世界の市場・経済が不安定な中、ドルが買われるのはいつものことだからだ。

Pandl氏は今後数か月のホライズンでドル高をメイン・シナリオに据えている。

「最近のドルは、世界中の株式・フィクストインカム市場からの米国債への典型的な『質への退避』によって上げてきた。
これが米国債利回りを押し下げ、ドル相場を押し上げてきた。
貿易戦争や世界経済への懸念が続く限り、ドル相場を支える要因になる。」

Pandl氏は、最近少し円安に戻した円相場について「世界経済やリスク心理のバロメーター」と呼び、興味深いコメントを述べた。
それは、景気後退期に退避すべき安全資産としての円だ。
単に安全なだけではなく、足元でまだ割安でなければうまみは小さい。
割安を求めないのなら、独国債や米国債も選択肢に入ってくるかもしれない。
では、欲をかくなら何が選択肢になるのか。

円は、いまだに割安で停滞期に高パフォーマンスを上げるであろう唯一の主要資産だ。
円は、片方にポジションをとるためにも、他のリスク資産をヘッジするためにも、ほとんどの投資家にとって役立つだろう。

こうしたPandl氏の指摘は、相対的ではあるが2つの重要な教訓を与えているように思える。

  • 日本人は円資産を多く持つがゆえに、景気後退期に自然な保険が効いているとも言える。
    この上、金投資などをすべきかはよく考えるべき。
  • 円高を多くの日本人は嘆く傾向にあるが、少なくとも投資家は極端に嘆く必要はないのかもしれない。
    外貨資産の円換算額が目減りするのは悲しみを誘うが、手元にもっと多く持っている円の価値は上がっており、円資産の減価分を一部オフセットしているとも受け取れる。

景気後退期に資産が目減りすることは当然と達観できるなら、何事もバランスが大切ということだろう。
(達観できないなら、確率的に極めて不利な戦いにもがき続けるしかない。)

Pandl氏はBRICs数か国についてもコメントしている。

  • 人民元は最終的にはさらに少し下げるだろう。
  • インド・ルピーは短期売買を前提とするなら割安。
  • ブラジル・レアルも短期的にはチャンス。

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