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ドル相場の変動に注視すべき:ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、大統領選挙にかかわるリスクにスポットライトを当て、ドル相場の注視を呼び掛けている。


ドルの変動に注意する必要がある。
長い間、為替変動は大きな課題でないとされてきたが、再び課題となるかもしれない。
特に米制度の機能に対して信認が失われる中で選挙後の大詰めを迎える場合はそうだ。

サマーズ氏がBloombergで、これまで以上にドル相場に注意すべきと述べている。
1990年代半ばの急激な円高ドル安局面を、後にミスター円と呼ばれるようになった榊原英資氏とともに鎮静化したサマーズ氏が、為替への注視を呼び掛けている。

その背景には、日本人には想像しにくい、分断された国家の不透明性があるようだ。
良くも悪くも与党が勢力で圧倒する日本では考えられないシナリオが、サマーズ氏から語られている。

選挙結果が論争になるような場合、投資家が米資産を保有したくない、明らかに米資産をリスクに対するヘッジ手段として保有したくないとの判断を下す可能性がある。
これまでは金利/債券市場、株式市場が注目され、外為市場への注目は比較的少なかった。
先行きを注意深く注目する価値があるのではと考えている。

サマーズ氏は、以前に比べてドルの価値に影響する出来事が多く起こっていると話す。
それが何か網羅的に明示されることはなかったが、拡張的な金融・財政政策、保護主義など、確かにドル相場のレジームを変えてもおかしくないような変化は多く起こっている。
そして、サマーズが番組中で明示したのが政治、11月の大統領選挙だ。

「トレーダーがボラティリティのフォワード・カーブと呼ぶものを見ると、選挙後の時期にかけて記録的なボラティリティの立ち上がりが見られる。
投票所で投票する人と郵送で投票する人の間で投票結果に大きな差が出る可能性がある。
これが意味するのは、選挙日の開票結果から最終結果を推測するのが難しいということ。」

つまり、今回の大統領選の結果は大いにもめるかもと言いたいのだ。
郵送投票を行う有権者には民主党支持層が多いとされる。
だから、大統領は郵送投票が不正の温床であるとの屁理屈から、郵送投票をなくすルール変更を唱え続けている。
(ジョージ・ソロス氏は、大統領が郵送投票をなくすために郵政公社を破産させる可能性まで言及している。)
すでに定着している制度だから、大統領の無理筋は通らないだろう。

過去にも大統領選の結果が論争になったことはある。
しかし、各候補は節度ある身の振り方を守っている。

ブッシュ対ゴアの時、米国の民主主義の質が深刻に問われた。
しかし、もしも法的手続きによりアル・ゴアの敗北が結論された場合、ゴアが敗北を受け入れ、後継者にもそうするよう促すだろうことを誰も疑わなかった。
これはブッシュ大統領でも同じだった。
今、現米大統領についてもそうだと言えるかどうか自信がない。
それが巨大な不確実性のオーラを生み出し、経済に影響している。

実際、大統領が選挙結果を認めない可能性を心配する人は少なくない。
アメリカ人の47%がそう予想しているのだという(バイデン支持者で75%、トランプ支持者で30%)(The Guardian)。
マクナニー大統領報道官は、大統領が選挙結果を受け入れるのかとの問いに対し「大統領は常に、成り行きを見て、その後で決断を下すと述べている」と答えている(Forbes)。

終末博士の異名をとるヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授は6月の時点でこうした展開を予見していた。
「トランプは中国・ロシア・黒人・移民のせいにし、バナナ共和国の独裁者のようにふるまうだろう。
支持者に武装を呼び掛け、通りをたくさんの白人差別主義者が走り回るだろう。」


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