海外経済 投資

ドル相場、外国投資、アクティブ運用:ジェレミー・シーゲル
2022年1月5日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、従前どおりの強め予想を述べた後、珍しくドル相場・外国投資・アクティブ運用について触れている。


たくさんの人が振り返り言っている:
『なんでインフレが7-8%の時にドルを持ちたいと思うんだ。』

シーゲル教授がBloombergで、TINAトレードが続くと話した。
高インフレにより現金・債券が敬遠され、実物資産(含む株式)が選好されるという従前からの見通しだ。

株式市場は年前半はいいだろうが、半ばにかけて凸凹があるだろう。
年を通せば上昇となるが、2021年ほどじゃないだろう。

《永遠のブル》はまだブルだが、程度はかなり控えめになっている。
その他、バリュー株・配当株有利など、従前どおりの予想を継続している。

「忘れていけないのは、株式配当というのは基本的に実質の利回り、インフレから守られた利回りであることだ。
実物資産に基づくものだからだ。
債券市場で魅力のあるものは何1つ見当たらない。」

シーゲル教授は以前から、株式を実物資産と呼んでいる。
実物資産の集合体である企業が生み出すキャッシュフローの価値を示すためである。
株式の価格・配当は、インフレが極端に高くならない限り、インフレ分も織り込んで拡大すると見ているのだろう。
教授は、株式投資が優れたインフレ・ヘッジだと考えている。

一方、現金、債券等フィクストインカムは、通常インフレ上昇に連動してリターンが上昇するわけではない。
それなのに、固定利回りが足元のインフレよりはるかに低位にある。
また、インフレに連動する物価連動国債にしても、10年で見ても利回りは―1%を割り込んでいる。
ヘッジとしての意味はあろうが、インフレ・ヘッジとして使えば、安からぬヘッジ・コストを支払わなければいけない。

この番組は、シーゲル教授出演としては珍しく為替や外国投資についても時間を割いている。
教授は経済学と市場の実態の差を解説する。

「エコノミストは、もしも米国でインフレが諸外国よりさらに上昇すれば、米ドルは上昇するはずと言う。
しかし、短期的には人々は単に利回り格差を見ており、米10年債利回りや短期金利が上昇すれば、ドルが強くなる。」

こうした現実の傾向を認めた上で、現在の状況はそうした単純な金利差では見通せないと話している。

しかし、記録的な貿易赤字により、莫大なドルが外国に流出している。
だから、私は年末にドル高になっているかどうかわからない。

シーゲル教授はこれまでも強気相場が長く続くにつれ、分散投資の必要性を説いてきた。
株式でいえば、米国以外の株式もその1つだ。
今回、外国投資について聞かれると、過去において外国株が総じて米国株よりアンダーパフォームしてきた点を認めている。
一方、そのせいもあって外国株のバリュエーションや配当利回りの魅力は増したようにも見える。

「今年は状況が反転するかもしれない。
米国と欧州・新興国市場の間のバリュエーション格差は史上最大水準に近い。」

市場全体が高水準にあるとの見方は、銘柄選別やアクティブ運用が必要との議論を生み出す。
シーゲル教授は、そういう主張が過去にも見られたものの、結局はアクティブ運用のアンダーパフォーマンスが続いていると認めている。
そうした主張の背景には、高い運用報酬を正当化したい意図があるともコメントした。
アクティブかパッシブかの議論についても、教授はあまり強い予想を述べなかった。

バリューの再興、FANG以外の銘柄のパフォーマンスが良くなるだろうことを考えると、2022年には一部の銘柄選別による運用者が平均を上回る時がついにくるかもしれない。
でも、昨年、過去5年を見ると、それは実現しなかった。


-海外経済, 投資
-, , , , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。