ドル建て外債のリスク:ラグラム・ラジャン

RBI(インドの中央銀行)総裁も務めたラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、インド政府によるドル建て国債発行の意向に異を唱えている。
日本人からは遠い話なのだが、インドでは大きな話題になっており、紹介しておこう。


Nirmala Sitharaman財務大臣は予算説明の中で、インドが外国市場において外国通貨による借入を開始すると表明した。
インドは国債をルピーで発行し、外国通貨で借り入れるのは世界銀行のような公的な貸し手のみからだけだったから、これは過去からの重要な変化だ。

ラジャン教授がインドThe Times of Indiaへの寄稿で、インドによる外貨建て資金調達について心配している。
教授によれば、財務大臣が挙げた理由は2つだという:

  • インドの政府対外債務対GDP比率は5%弱と世界最低水準
  • 国内の国債市場の需要によい影響

しかし、2016年まで中央銀行総裁を務めたラジャン教授は、これらが本質的な理由にならないと指摘し、疑問を呈する。

なら、この冒険的な行動の真の理由はなんなんだ?


こう疑問を投げかけた後、元IMFチーフ・エコノミストにして元インド中央銀行総裁は、とうとうとハイエナのような外銀の手口を解説するのである。
コロコロとロジックを変え、なんとか新興国・途上国を誘い出し、食い物にしようとする。
ドル建て債務が念頭にあるのなら、さしづめここでのハイエナは米系投資銀行らであろう。

「銀行はただ彼らの仕事をしているだけだ-銀行のために引き受け手数料を稼ごうとしている。
しかし、政府は彼らの提案をふるいにかけるにあたってインドの安全とニーズを念頭に置かなければいけない。」

実はラジャン教授も、外貨建て外債発行が小さな規模に限定されるなら、それ自体の問題は小さいだろうという。
しかし、一たび実績ができれば次々とその手段が用いられ、依存するようになると心配しているのだ。
もっとも、政府が外貨建て外債を発行したいというなら、インパクトがないような小さな規模で済むはずもなかろう。

ラジャン教授は、もう1つ賛成しない理由を挙げている。
それは、インドがルピーを国際通貨にしたいと望んでいる点に関するものだ。

第一段階は、国内インフレを抑制しルピーをより魅力的にすることだった。
それが達成された今、何でルピー資産をより望ましく流動的なものにすることに集中しないのか?
もしもルピーの国際化がまだ目標なら、どうしてインドで最も人気の金融資産である国債を外貨建てにすることで、ルピー資産とインド市場に不要な競争を生もうとするのだろう?


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