ドル安になればヘッジなし米国債が売られる:ジェフリー・ガンドラック

債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、米経済・市場のおかれた危うい状況を語った。
1年以内の景気後退入り確率は50%とかなり高まっているという。


これらGDPの数字を見るのにみんなが見逃しているのは・・・
良さそうに見えているGDP成長率が実は完全に債務、政府債務や企業債務、今では住宅ローン債務の成長のみによっているという点を理解していない。

ガンドラック氏がウェブキャストで債務に依存した米経済成長の構図を指摘したとReuters 1)が伝えている。
同氏は先週もCNBCで同様の指摘をしていた。

ガンドラック氏によれば、過去5年間、仮に米公的債務が増えていないだけで(それ以外の債務が増えていたとしても)名目GDP成長率はマイナスになっていただろうという。
つまり、政府が借り増してそれを使うことでGDPがかさ上げされる、その部分を取り除くだけで名目GDPの変化はマイナスになってしまうのだ。
ガンドラック氏によれば、過去5年間の名目GDP成長率は年率4.3%、公的債務増加率は年4.7%だったという。

これが景気後退期ならば、おかしな話ではない。
安定化政策の中でGDPの底支えをしたのだろうからだ。
しかし、景気回復期に入って4-5年後以降からも公的債務に頼った経済成長に終始したとなれば話は違ってくる。
趨勢的停滞への対処と見て肯定し続けるか、それとも慢性的な刺激策依存の風潮として批判するか、人それぞれだろう。


ガンドラック氏は今回いずれのスタンスか明言したとは伝えられていないが、過去の発言なども見ると、後者の文脈の話なのだろう。
実際この日も、財政・金融政策のいずれにも依存してきたがゆえに次の景気後退期に残された武器は少ないとして、「とてもとても危険な時期」になると話したという。
ガンドラック氏はこれまで、米経済がすぐに景気後退入りするとは見られないとしてきた。
今回も同様のスタンスのようだが、一方で今後2年ならば確率は極めて高いと指摘したとCNBC 2)が伝えている。
今後6か月なら30%、1年なら50%の確率で景気後退入りが予想されるという。

思慮深い人なら心配しているだろう・・・
現状の経済が抱えるリスクはかなり悪い組み合わせであり、債券市場の長期側にリスクが高まっている。

いったん下げて落ち着いた長期金利に上昇の可能性があることを警戒しているのだろう。
短期側となると話は別だ。
ガンドラック氏は、2.5%のFF金利でも経済が消化できていないように見えるとして、FRBの利上げがありそうにないと示唆した。
逆に今後12か月で利下げとなる確率を70%と話したとBloomberg 3)が伝えている。

ガンドラック氏はさらに気になる予想をしている。
米債券市場が米ドルの低下リスクにさらされているというものだ。
海外投資家が為替ヘッジなしの米国債投資を行っているため、米ドル相場が軟化した場合に為替損を嫌って米国債が売られるというシナリオだ。

この予想を延長するとこうなる。
海外投資家が米国債を売れば一部米ドルの売りをともなうと考えられるため、さらにドル安が進みかねない。
一方、金利上昇がどこかでブレーキを踏むのだろうが、それまで少々大きめのドル安・金利上昇になりかねないということだろう。

その他の発言:

  • 米社債: リスクが高く、BBB格社債の1/3は景気後退期にジャンク級に格下げになると予想。

    「社債はそうサブプライムと違わない。・・・
    ローラー車の前に落ちている小銭を拾おうとするな。
    ファンダメンタルズは悪く、バリュエーションは高い。」 2)

  • 金ロング: 米国株・米債のボラティリティが増す中、金ロングが「心地よい」。 1)

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