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ドル凋落時の賢明な投資家の行動:レイ・ダリオ
2020年10月1日

レイ・ダリオ氏のSNS投稿についての第2弾: ドルの凋落がいつかはわからないとしながら、その時に起こることを予想している。


資本戦争に関する2つの主要なリスクとは
資本の遮断(これは米国より中国にとって大きなリスク)

準備通貨としての地位を失うこと(これは中国より米国にとって大きなリスク)
である。

ダリオ氏が自身のSNS(近著の第7章)で、米中間で起こりうる様々な軋轢を論じ、その中で「資本戦争」についても議論している。
米国は世界の金融システムに対し最大の影響力を持ち、主要準備通貨ドルを有している。
これを利用すれば、敵に対し「資本の遮断」を行うことができる。
ダリオ氏は、これこそが現在「制裁」と呼ばれる営みだといい、(価値観を込めずに)完全ではないが効果的な手段だと書いている。

これは資本戦争における米国の強みだ。
この強みは、米国の世界金融市場に対する影響力、米ドルの主要準備通貨としての地位が万全であるほどに強まることになる。
しかし、それが今万全とはいえなくなりつつある。
その場合、強みだったはずのものがもろ刃の剣となりうることになる。
これまで、ドルとドル建て債務を諸外国に持たせてきた構図が逆回転を始めるためだ。

ダリオ氏は、現在、米国が同時に4つの限界を試そうとしていると書いている。
その限界とは
a) 莫大なドル建てのマネーと債務を生み続けられるか
b) 実質リターンを低下させマイナスにできるか
c) ドルを武器にできるか(例えば資本規制)
d) 法定貨幣制度
ダリオ氏は、その現状に明らかに後ろ向きな見方を示している。

その限界がどこにあるかはわからないし、いつ限界に達するかもわからない。
その時になれば、改めるのは不可能だ。

これは世の中に存在する《危なくなればそこで引き返せばいいから大丈夫》といった戦術論を否定するものだろう。

ダリオ氏はドルの凋落が近い将来に必ず来ると言っているわけではない。
ただ、度外視すべきでもないと言いたいのだ。
同氏は、ドルとドル建て債務の状況が金利の状況に似ており、関連していると指摘する。

「数年前にあなたが現在の極端な状況、つまり政府がそうなるように資本規制を課していない資本市場でマイナスの名目・実質長期金利が幅広く債務・借入に広がる可能性を尋ねられていたら、知識のある人たちは『ないだろう』と答えたはずだ。」

ダリオ氏は、大きなドル安が近く必ず来るとは言うべきでないという。
しかし、それが来た時に何が起こり「おそらく止められない」ことは予想できるという。
では、何が起こるのか。

ドル建て債務の保有者が資産を他に移すにつれ、ドル建て債務が売られる。
リターン向上のため安い調達を利用しようとする賢明な借り手は、ドル建て債務で大量の資金調達を行う。

「現金はゴミ」だから、現金で借りればいい。
直に価値が減じていき、借金は実質的に大いに減るという意味だ。
こうした考えをする人は少なくない。
債務過多が危険視されている中で、レバレッジが好まれるのは皮肉な現象だ。
しかも、そこには論理の一貫性がある。

ダリオ氏は、こうした動きに対しFRBが究極の選択を迫られることになるという。
(これは第2章でも語られている。)
その選択とは
a) 許容不可能なところまでの金利上昇を容認する。
b) 貨幣増発により債務を買入れ、さらにドルとドル建て債務の価値を減じる。

ダリオ氏は、このジレンマを「典型的な通貨防衛に似たもの」と表現している。
通貨を守ろうとすれば経済・市場が打撃を受け、金利を低位に保とうとすれば問題がエスカレートする。

この選択に直面すると、中央銀行はほぼ常に貨幣を増発し、債務を買入れ、通貨の価値を低下させる。
これは自己強化的に起こる。・・・
これは、為替と金利が新たな国際収支の水準を確立するまで続く。
良い言い方をするなら、アメリカ人が支払いのための債務を減らせるように、財・サービス・金融資産を強制的に売り、それらを買うのを減らす時までだ。


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