ドル円相場80円台の円高への処方箋:早川英男氏

3つのマイナス金利

  • 超過準備への付利
    市中銀行から預かった超過準備への付利、これはほぼ市中銀行が預金者から預かる預金に転嫁される。
    私たちの預金金利が大きくマイナスになり、銀行からの貸出金利が大きく下がれば、まだ景気刺激に役立つかもしれない。
    ただし、この場合、預金者はタンス預金で対抗するだろう。
  • 現金へのマイナス金利
    タンス預金を防ぐために、現金に対してマイナス金利を課すことが必要になりうる。
    これには、市中銀行が日銀に回金した際に課す、印紙の形で課すなどの方法もありうるが、利便性に著しく劣り、とても現実的とは言えない。
    むしろ、高額紙幣を廃止し、通貨を電子化する方がはるかにエレガントだが、これにはかなりの時間がかかる。
  • 日銀の貸出金利をマイナスに
    日銀が市中銀行にマイナス金利で貸し、市中銀行の貸出金利を押し下げることで景気を刺激する。
    これなら、大きな商習慣の変更なくすぐに行える。
    日銀が市中銀行に払う金利は、リスク・テイクに対する補助金のようなものだ。

最近、元IMFチーフ・エコノミスト ケネス・ロゴフ教授は、FRBに有効なマイナス金利政策の検討を促した。
いつ訪れてもおかしくない景気後退に備え、金融政策のツールを整えておくべきとの危機感からだった。



さまざまなマイナス金利の消去法から、早川氏は3つ目の選択肢が選ばれると予想しているわけだ。
予想される、銀行に対する補助金批判について早川氏は

「金融機関が苦しいことが世間に浸透してきているので、意外にすんなり通ってしまう可能性がある」

と語っている。
実際、銀行は極端な金融緩和の被害者である面も強く、異論が出ても形ばかりのものになるのではないか。
なにしろ、説得力のある代案はほとんど提案されていないのだから。

景気後退期では無力か

ただし、早川氏の予想するマイナス金利での貸出が実現したとしても、景気刺激が有効に働くと決まったわけではない。
早川氏は、仮に景気後退が実現してしまった場合の金融界の置かれた厳しい状況を説明する。

「景気後退で倒産が発生し、信用コストが上がれば簡単に最終赤字に陥る
・・・ある種の信用不安は起こり得る」

銀行にとって、広範な貸出不良化の痛みは金融緩和の比ではない。
金融緩和では1%金利が下がれば大ごとだ。
しかし、不良債権では簡単に数十%もの価値が失われてしまう。
不良債権が大量に発生するような場合、銀行は合理的な対処として貸出を増やすのではなく減らそうとするだろう。


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