国内経済

ドル円相場80円台の円高への処方箋:早川英男氏
2019年1月19日

日本銀行元理事の早川英男氏が、景気循環の観点から円高進行の可能性を指摘し、FRBが利下げに転じればドル円は80円台もありうると話した。
そこでもしも金融政策がまた動員されるなら、残されたのはマイナス金利での貸出しかないという。


安倍政権は株価が命なので、円高がどんどん進む中で『日銀は何もできません』では持たない。
・・・(金融政策でやれるのは)マイナス金利での貸し出ししかない。

早川氏がBloombergに語った。
なぜ、マイナス金利での貸出しかないのか。
ゼロ金利制約に捕まった日銀の道具箱に、もはやほとんど役に立つ道具が残っていないからだ。
2016年9月、日銀は「総括的な検証」によって量の目標の位置づけを後退させた。
これは暗に「量」(マネタリー・ベース拡大)の効果は重要でないと日銀が認めたことを意味する。

では、異次元緩和によって日銀が国債等を大量に買い入れたことに効果はなかったのだろうか。
決してそうではない。
日銀企画局のあるワーキング・ペーパーによれば、国債買い入れは長期金利を押し下げたという。
つまり、量的緩和のために行われた国債買い入れは、量を通じてではなく、金利を通じて景気を刺激したと考えられる。

行き詰る金融政策

では、「金利」には緩和余地があるのか。
すでにステルス・テーパリングで稼いだ長期金利のわずかなプラスも元に戻ってしまった。
金利をマイナス圏でさらに引き下げれば、預金金利を本格的にマイナスにするのでなければ、金融機関には甚大な影響が及ぶだろう。

最後の要素「質」についても、株式・REIT・社債の買い入れで、すでにリスク・プレミアムはかなり小さくなっている。
これ以上、リスク・プレミアムを小さくすれば、投融資する側のモチベーションも下がってしまうだろう。
株式などリスク資産市場が暴落したから買い支えるというならありえなくもないが、景気刺激策としての深堀はあまり効果がありそうにない。

つまり、金融政策は行き詰ったのだ。
論理的にありうるのは、やはりマイナス金利政策の深堀だ。
しかし、これには中央銀行が密接に関係する3つの資産クラスのいくつかに対して大きなマイナス金利を付す必要がある。

(次ページ: 3つのマイナス金利)


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