ドル円相場-円高ドル安を見込むのはまだ早い:佐々木融氏

JP Morganの佐々木融氏が、米イールド・カーブの一部長短逆転にコメントした。
今回の逆転はだましの可能性もあるとし、仮に景気後退が来る場合でも急いで円を買うのは早計と話した。


過去を見ると、深く長く逆イールドが続かないとリセッションになっていない。
しかも、過去2回のリセッションの前の逆イールドでは2回とも結構前にだましがあった。
今回はだましなのではないかと思う。

米市場で3か月ものと10年ものの金利が逆転した点について、佐々木氏がテレビ東京の番組でコメントした。
イールド・カーブの長短逆転が景気後退の前に現れることは米市場でよく知られた現象だ。
しかし、長短逆転が起これば必ず比較的短いうちに景気後退が訪れるというわけではない。
だましも多く起こってきた。
佐々木氏は今回の長短逆転については、あまり悲観的になりすぎない方がいいと話した。

イールド・カーブの逆転をどこで見るのかにはあまりにも自由度がある。
通常は2年-10年で見る人が多く、ここでは逆転は起こっていない。
また、スワップ金利で言えば、2年-10年の逆転が昨年夏に起こっている。
ビル・グロス氏は1年後(今年の夏)に景気後退入りしてもおかしくないと警告していたが、その予想はやや早すぎたように思える。
景気サイクルのピーク時、予想は極めて難しくなるのが通例なのだ。

佐々木氏は、FF金利先物が織り込む2020年末までの政策金利変更回数とドル円相場のグラフを示し、FRB金融政策のドル円相場への織り込み度合いを解説した。

「3月22日の時点で(2020年末までに)2回の利下げとなっている。
やや悲観的過ぎる。
仮に3回の利下げを織り込むなら109円程度、1回なら111円程度。」

佐々木氏は、為替市場がさほどパニックになっていないと解説した。


読者の中にはやや違和感を感じる人もいるかもしれない。
もしも利下げを予想するなら、それは米景気が大きく鈍化するか、後退入りする場合ではないか?
そうなれば、リスク・オフの円高がもっと進むのではないか?
低金利の調達通貨である円から比較的高金利のドルへのキャリー取引が巻き戻し、円が買われるのではないか?

佐々木氏は、そうした連想を妥当と認めながらも、過去の例からタイミングにも配慮すべきとアドバイスしている。

「前回は2006年7月あたりから本格的に逆イールドになったが、ドル円は逆イールドになってから12%ほど上昇し円安が進んだ。
株価はもっと上がっていて、30%ぐらい上がった。
景気後退は2007年12月からだ。」

佐々木氏は、今すぐ円を買い始めるのは少し早いと指摘した。

不安があるのは米経済だけでなく、世界経済に敏感に反応する日本経済も一蓮托生だ。
日本経済が悪化すれば、政策対応をねだるといういつもの悪い癖が始まるだろう。
佐々木氏は、追加緩和の手段が限られてきており、日銀が追い詰められてきていると話す。

日銀による長期国債買い入れについて、佐々木氏は、海外投資家の中に継続による副作用を指摘する声も多いと紹介した。
佐々木氏は、長期債買い入れについて、為替への影響が思うほど大きくないと考えているようだ。

長期債買い入れをやめても、もう円高にはならない。
そもそも買い入れを減らしてきている。

日銀も認めているようにストックの効果が優勢なら、日銀は再投資によりバランスシートを維持するだけで金利、しいては為替への影響を小さくできることになる。
非常時のために武器を温存するという意味からも、国債買い入れは最小限に抑えたいところだろう。


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