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ドル円相場予想-緩やかに1ドル100円へ:榊原英資教授

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、1ドル100円への緩やかな円高を予想した。
仮に米欧が金融緩和に動いても、日銀が追随するとは限らないという。


「海外への進出企業が増え、20~30年前に比べると大きな構造変化が起こっている。
現地生産を増やせば為替変動の影響は受けにくい。
かつてのように円高ですぐ輸出が減少し、日本経済にマイナスに働く時代ではなくなっている。
日本企業の為替感応度は間違いなく下がっているので、本来、円高が株安を促すというのも不思議だ。
今後、円高・株高が普通になるときが来てもおかしくない」

円高は必ずしもネガティブとは言い切れないと日経QUICKから尋ねられ、榊原教授が解説した。
教授や日経が指摘するように、日本の製造業は為替耐久力を強めてきた。
これまで言葉にこそしないものの円高阻止に苦心してきた日銀にしても、為替耐久力向上の事実は認めている。
輸出を高付加価値の財にシフトしてきたことで為替耐久力が向上したとの見方だ。

「円高・株高が普通になる」のはまだ先の話かもしれないが、為替と株価の相関に変化が現れるのかもしれない。
もっとも、輸出について為替耐久力がついたからといって、株価への影響がすべて拭えるとは限らない。
円高では日本企業の海外での収益の換算上の低下が起こるからだ。
この評価上の損益低下を本質的なものと見るならば、株価下落要因となるのだろう。
ただし、為替変動が一時的かつ中央回帰するものと見るならば、こうした見方は近視眼的すぎるのかもしれない。

そもそも、円高とは円の価値が上昇すること。
円高になって円の持ち主・受け取り手(労働者など)が誰から誰まで悲しむのは奇妙だろう。
少なくともすでに円をたくさん持っている人は、自分の資産の購買力が上がったと喜ぶべきかもしれない。
日本円が買われ、日本株が買われるような時代になれば、日本の投資家はニンマリだろう。
とはいえ、現実には、日本はまだまだ円高に対するアレルギーが強い。
しかも、都合の悪いことに、何か悪いことがあるとリスク・オフの円高が起こるという悪い巡りあわせだ。

榊原教授は、米欧が金融緩和に動いても日銀が追随するとは限らないと話す。

「日本の潜在成長率は1%程度の巡航速度で順調に推移し、全体としてパフォーマンスはいい。
米国が利上げを進め、欧州では量的金融緩和の拡大を停止した一方、日銀はこれまでも積極的に緩和を続けてきている。
他中銀が緩和方向に向かったからといって、日銀が追随して追加緩和する必要はなく、黒田東彦日銀総裁もそう考えているのではないだろうか。」

ここで榊原教授が語った根拠は2つだけ:

  • 日本経済が比較的順調なこと
  • 米利上げの間に日銀が緩和を継続したこと

しかし、実際には多くの考えが背景にあったはずだ。

「円相場が急速に1ドル=100円を突破し90円台や80円台といった水準が視野に入れば話は変わってくる。
だが、105円をやや超えたぐらいならあえて動く必要はないだろう。」

こうした発言も含め背景にあった考えを勘ぐるなら、例えば

  • トランプ大統領のスタンスから見て為替協調介入は考えにくい。
  • 日米交渉を勘案すると、為替目的ととられかねない金融緩和も派手には進めにくい。
  • 仮に金利差が強く効くとして、円金利に下げ余地があるか疑問。

などが考えられる。
日銀のやれることは小さくなっているということではないか。

榊原教授は年内のFRB利上げを1-2回、世界経済の緩やかな鈍化を予想し、ドル円相場を予想した。

既に過去最高値圏にある米株価などがここからさらに大きく上昇することは見通しにくい。
対ドルでは円高が進みやすい環境で、円は今年末から来年に向けて緩やかに1ドル=100円を目指す展開になるだろう。


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