ドル円相場は円高で100円を切っても一時的:榊原英資教授

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、日銀の金融政策を解説し、ドル円・ユーロ円相場を予想している。
数か月後の105-110円を予想し、仮に100円を切ることがあっても一時的なものに終わるとコメントした。


「黒田総裁は2%物価目標を当面の間維持すると言っているが、総裁は2%が可能でないことはわかっている。
日本は他の先進国とともにディスインフレの状態にあり、成長率は約1%、インフレも約1%だ。
それが通常の状態になっている。
インフレ(見通し)を0.9%に下げるのは、日銀総裁の側としては自然な動きなのだ。」

榊原教授がBloombergで黒田総裁の胸の内を解説した。
リフレ派の人たちもリフレに懐疑的・反対だった人たちも、黒田総裁の苦労は理解していよう。
しかし、その結果は、経済を一息させたとは言え、残念なものに終わっている。
中心的目標として掲げた物価目標は6年経っても達成できていない。
期待に働きかける政策だったはずなのに、財務官の前任者から「2%が可能でないことはわかっている」と見透かされてしまっている。
もちろん市場もとうの昔から見透かしている。
もはや日銀の物価目標やフォワード・ガイダンスに市場期待のアンカーとしての効果は見込めない。
日銀は弾薬が尽きた中で、あくまで目標を下げず、玉と砕ける道を進んでいるのだ。
批判するのでも、嗤うのでもなく、ただ残念との感を禁じえない。

「黒田総裁は(金融政策)正常化をそう早く始めるつもりはないだろう。
おそらく将来どこかで正常化を始めようと考えているだろうが、しばらくの間は金融緩和を続けるだろう。
黒田総裁は2019年の世界と日本の経済が脆弱だと考えているからだ。」

榊原教授は以前から2019年10月の消費増税を理由に、2020年までは金融引き締めがないと予想していた。
今回、教授は具体的な時期に言及していないが、おそらく想定する時期はかなり後に倒れたのではないか。
今後数年の日銀には金融緩和をやめられない理由がいくつもある。


  • 世界経済・米経済の停滞が2020年以降に予想され、その影響を逃れえない日本は金融政策正常化に着手することができなくなる。
  • 政府は消費増税の悪影響を打ち消すために9か月のポイント還元などの施策を予定しており、それが悪影響の時期をさらに後倒ししてしまう。

つまり、日銀の政策スタンスはまだ数年ほとんど変わりえない状況にある。

「金融緩和は継続するが、変化があるわけではない。
その意味で、円安がさらに続くわけではない。」

円の側の事情が変わらないなら、円相場は相手通貨の事情によって大きく左右されることになるはずだ。
榊原教授は、中国経済・欧州政治で混乱が心配されるとし、2019年が険しい年になると予想する。
さらに、米経済も絶好調が続くとの見方が難しくなりつつある。

米経済の方向性、ピークを打ったように見えることを考えると、ゆっくりと下降するだろう。
その場合、円高になる。
ドル円はしばらく110円あたりにあって、数か月後に105-110円に向かうだろう。

榊原教授は、世界経済の不透明感を理由に、今年のFRB利上げを1回と予想している。
元日銀理事の早川英男氏がドル円相場について80円台もありうると話したことについては、80円はありえないと異論を述べている。

1ドル80円はありえないが、100円に向かうことは十分にありうる。
短期間なら100円割れもありうる。
緩やかな円高進行なら1ドル100円程度までだろう。

早川氏と榊原教授の違いはどこか。
それは日銀と財務省の違いであり、教授が元財務官であるという点だ。
教授には1ドル100円のところに為替介入のトリガーが見えているのであろう。
ただし、これも注意が必要だ。
1ドル100円は従来の米国であれば協調介入に応じうる水準だったかもしれない。
しかし、米政治は近年大きく変貌してしまった。

榊原教授は、対ユーロでも円高を予想している。

「円は対ドルだけでなく対ユーロでも円高が進むだろう。
欧州各国の経済はかなり弱く、しばらくこれが続くだろう。
・・・ECBも利上げは難しい。」


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