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ドル円は100円へ、当面は100円割れはない:榊原英資氏
2021年1月24日

ミスター円こと榊原英資 元財務官が、日銀の金融政策・為替・日米関係・東京オリンピックと広範な話題について語っている。


0-1%のインフレが継続するのだろう。
黒田総裁は2%物価目標を掲げているが、現状その達成を試しているのではないはずだ。
総裁はそこそこ現状に満足しているのだと思う。

榊原氏がBloombergで日銀のスタンスを代弁した。

海外メディア、特に米系メディアが日銀の政策を論じる時、しばしば議論がかみ合わないことが多い。
その一因は、米メディアが金融緩和の目的を、建前通り、信用創造の促進による景気刺激と考えている場合が多いためだ。
(この経路は実体経済の場合もあるし、資産効果の場合もある。)
しかし、ゼロ金利や大規模な量的緩和を長く続けている日本において、こうした考えはむしろ少なくなっている。
もしも日銀がこう考え、そのための2%物価目標に優先順位を置くならば、迷わず追加緩和に踏み切っているはずだ。
そうならないのは、ここからの追加緩和が信用創造を目的とするものとは考えていないからだろう。
(言い換えれば、これ以上信用創造を目的として追加緩和を行っても、副作用で相殺されてしまうと見ているのだろう。)
ではなぜ日銀が金融緩和にこだわるかといえば、日本人ならみな言葉に出さなくとも知っているとおり、為替を気にするからだ。
以前とは異なり円高ドル安が日本全体に及ぼす功罪は小さくなっているはずだが、とにかく政府も日銀も(そして投資家も)為替を気にする。
米国では強いドルを国益とすることもあり、米系メディアには、信用創造と為替の軽重が想像できていないことも多い。
ただし、今回のインタビューはBloombergのアジア部門からの発信であり、話は突然、円安誘導のための緩和余地に向かっている。
(もちろん、これは国際社会では建前上、合意のないかぎり禁じ手とされている。)

円は緩やかに円高が進むだろう。・・・
102円、101円と円高となり、最終的には1ドル100円に向かうだろう。

榊原氏は、現状103円代のドル円がゆっくりと100円に向かうと予想している。
ただし、当面の間は100円を割り込むことはないともコメントしている。
今回のインタビューで、財務省による為替介入の話題は出てこなかった。

榊原氏がミスター円と呼ばれるようになったのは、1990年代半ばの急激な円高ドル安(一時80円割れ)を日米の協調介入で押し戻したエピソードによるところが大きい。
クリントン政権(当時)は当初、保護主義的なスタンスから円高ドル安を望んだ。
これをローレンス・サマーズ氏と榊原氏のコンビが押し戻したのだ。
そして、バイデン政権も同じ民主党の政権だ。
それでも榊原氏は、円高ペースはそう急速なものにならないと予想している。

榊原氏は、日米関係について次のように述べている。

ジョー・バイデン大統領は他国との同盟を尊重すると話してきており、日本政府はもちろんそれを歓迎するだろう。
トランプ政権と比べ、日本政府は日米関係が改善すると考えているのだろう。

これも一見違和感を感じるところかもしれない。
世間に少なくないトランプ・ファン、安倍ファンからすれば、日米関係は極めて良好と見えていただろうからだ。
トランプ氏は自他ともに認めるディールの人。
テーブルの下でどのような条件交渉があったかわからないが、表面上日米関係はとても良好だった。
これが属人的なものでなく、組織的なものになるなら、なお望ましいだろう。

榊原氏は、オリンピック中止の可能性についても尋ねられている。

オリンピックを停止したり、開催できなくなったら、経済に甚大な悪影響が及ぶだろうが、それはパンデミック、コロナ・ショックがどうなるかによる。・・・
日本政府はオリンピック開催のため全力を尽くすだろう。

国民のほとんどが白旗を掲げているオリンピックにさらに「全力を尽くす」なら、それを悲しむ人も多いのかもしれない。
オリンピックにも《コロナ対策》にもずいぶんとたくさんの《マーケティング費用》がかかっているようだから。


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