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ドル円は緩やかに円高、100円へ:榊原英資氏

ミスター円こと榊原英資 元財務官が、従前どおり1ドル100円への緩やかな円高を予想し、日本の財政・経済についてさほど心配していないと語った。


ドル円はゆっくりと100円に向かうだろう。
緩やかな円高はある種、市場のムードといえ、それが続くだろう。

榊原氏がBloombergで、従前どおり、緩やかな円高方向を予想した。
金融緩和が長く続く中でその効果は低減していくとしながら、金融緩和継続は日銀の既定路線であると解説した。

政府債務は増えているが、民間セクターの資産は莫大で、経常収支はまだ黒字だ。
国家全体で見れば、日本は良い状態であり、私は財政赤字についてさほど心配していない。

日本の政府債務への懸念について尋ねられると、榊原氏は国家全体のバランスという観点から懸念は大きくないと説明した。

この解説はまさに大きな債務を抱える日本が大きな混乱なくこれまでやってきた最大の理由だ。
大きな政府債務に対し国内民間セクターがお金をつけている。
この貯蓄超過こそがマジックのタネであり、経常黒字の裏返しである。
逆にいえば、このマジックが解けるのは、民間の貯蓄行動が変化する時なのかもしれない。

「古き良き1980年代に戻るには何が必要か」と尋ねられ、榊原氏は持論である成熟経済について語っている。

私は日本経済についてあまり心配していない。
日本経済は成熟したんだ。
現状の1人あたりGDPでの1%成長なら十分で、現状、経済政策に対する幅広い不満は存在しない。

なかなかここまで言い切れる人は多くない。
確かに日本社会には(少なくとも諸外国と比べ)「幅広い不満」は存在しないが、もちろん「不満」は存在する。
だからこそ榊原氏も「幅広い」という枕詞を付したのだろう。
一部の不満に対して歓心を買おうとする人が特に政治の世界には多いし、それは優しさの表れといえなくもない。
榊原氏には(少なくとも経済政策という切り口において)そうしたつもりは微塵もないようだ。
(確かに、それは社会保障の問題かもしれない。)

1980年代といえば、ボルカー・ショックをやり過ごし、プラザ合意を経て、日本や世界が足早で継続的な金利低下の恩恵を受け、最後にバブル崩壊を迎えた10年間。
(一方で(後半)日本にとっては円高に苦しむ時代でもあった。)
その時代に戻らなければいけないという(キャスターの)問題意識自体が実は奇妙なことなのかもしれない。

榊原教授の持論では、高成長を望むなら、成熟した日本ではなく高成長の新興国に企業が進出しその成長を取り込む方が現実的となる。
もちろん成熟したからといって国内経済の潜在成長率向上の努力をやめるべきではないのだろうが、それにも構造に合った程度があると言いたいのだろう。
もしもそうだとするなら、次の課題は幅広くないが存在する「不満」を少しでも解消するための分配政策になるのかもしれない。


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