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トランプ大統領の為替介入とドル円予想:榊原英資教授
2019年8月4日

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、トランプ大統領が検討しているとされるドル安誘導のための為替介入についてコメントした。
ドル円レートの予想については、従前予想を維持し、緩やかに1ドル100円を目指すとしている。


日本銀行はFRBやECB(の緩和姿勢)の前に金融緩和を講じていた。
しかし、黒田総裁は追加緩和が必要になるかもしれない。
総裁にとって難しい時期となろう。

榊原教授がBloombergのインタビューで、FRBの金融政策正常化の停止が日銀に及ぼす影響を解説した。
日銀はFOMCの前に行われた政策決定会合で現状の政策の維持を決めている。
その上で、黒田総裁は、必要ならば躊躇なく政策対応を行うとも話している。
ところが、榊原教授は追加緩和が「難しい時期」となると予想している。
日銀に残された手段がそう多くないとの思いがあるのだろう。

実際、政府・日銀が気にする為替はじりじりと円高に動いている。
榊原教授は、従前の予想を維持し、今後もゆっくりと1ドル100円に向けて円高ドル安が進むと予想する。

現在は105-110円のレンジにある。
年末から来年あたりに100円近辺まで行っても驚かない。
トランプ大統領の政策や欧州の混乱を勘案すると、ゆっくりと1ドル100円に向けて円高が進むだろう。

榊原教授は、現在の105-110円のレンジなら日本経済に何も問題はないという。
しかし、仮に100円を切って90円に向かうようなら、日銀も輸出への悪影響等を心配し、追加緩和に動くと予想している。

インタビュワーは、市場の関心を集める、トランプ政権による為替介入の可能性を尋ねている。
これに対し、榊原教授は、為替政策の過去の慣例を2つ紹介している。

「通常は国のトップが、特に特定の為替レートのレンジを挙げて、為替に言及するのはタブーとされているが、トランプ大統領はそれをやった。
米経済を刺激したいためにドル安を望んでいる。
大統領は極めて大っぴらに(ドル安を)望むと公言している。
これはタブーなんだ。
ガハハハハ!」

もう1つは、実際の為替介入時のコンセンサス形成についてだ。
為替介入は通常、両国間の合意が必要であり、丁寧に意思の疎通をとりながら実施しなければならないという通例だ。

「私は1995-96年、頻繁に介入したが、毎回米国側の合意を得ていた。
・・・
介入するときは毎回サマーズ財務副長官(当時)の合意をとっていた。
トランプ大統領がどうするかはわからない。
違うことをするかもしれないが・・・
ガハハハハ!」

いずれの話も遠慮のない苦笑につながっていくのは、日本の相手が「通常」・「タブー」などという概念の通用しない相手であることが分かっているからだろう。
つまり、通常ならタブーとされるはずのことが起こりうるということだろう。

一方、榊原教授は、「これは通貨戦争なのか?」との問いに対しては否定している。
日米には意見の相違はあるが、対話のできる間柄だとした。
また、日米TAG交渉の為替影響については、市場はすでにある程度は織り込んでいると話した。

榊原教授は、世界的な低金利の原因について尋ねられると、インフレ懸念がなくなったことを一因に挙げている。

インフレ率は1-1.5%であり、このディスインフレが世界経済の日常になった。
だから、世界の中央銀行はインフレを恐れることなくさらに経済を刺激することができるようになった。


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