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トランプ・ナラティブが終わる可能性:ロバート・シラー
2020年3月16日

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、トランプ・ナラティブ終焉の可能性を指摘し、過度なリスク・テイクは縮小すべきと警告している。


すでに20%下げたし、これが続きうる。
恐ろしい状況になりつつあるし、市場に心理的影響も及ぼしうる。

シラー教授が独DER AKTIONÄR TVで、コロナ・ショックの影響を予想するのが難しいと繰り返した。
新型コロナウィルスについての不確実性にはエピデミックの予想、市場の予想の両方が絡み合っているためだ。

「エピデミックについてさえ予想が難しい。
疫病学者はこうしたことの予想に困っている。」

近著『ナラティブ経済学』では、経済活動とエピデミックの間に類似性があると指摘されている。
ナラティブは伝染病のように大流行することがある。
伝染病の大流行を的確に予想するのは困難だ。
現在の混乱の直接の原因であるエピデミックでさえ予想が難しいなら、それに左右される市場心理の予想はなお難しい。

現在の状況は、人々が『自分はこれで死ぬかもしれない』と考えている。
多分そうはならないが、ナラティブは強まり、死の恐怖を感じている。・・・
もちろん各国中央銀行は通常の利下げという手段を少なくとも多くは持たないから、量的緩和をせざるをえないだろう。
それが助けになることを祈るが、それは基本的な問題、人々が怯え、死を怖がっていることの解決にはならない。

ナラティブは一度流行しだすと、それが正しいかどうか、合理的かどうかは関係なくなる。
今回の場合、人々が現実に恐怖を感じている。
それだけで経済活動は滞り、市場は下げてしまう。

シラー教授は、相場の見通しを尋ねられても、予想が難しいと答える。
今の市場は合理的に動いているとは限らないからだ。
CAPEレシオは以前ほど高くなくなったが、それでも市場がさらに下げる可能性はあるという。
今後の方向性は予想が難しいとしながらも、他の識者と比べるとバイ&ホールドに消極的だと話している。

買いのチャンスとの見方に過信してはいけない。・・・
そうなるかもしれないが、この買いのチャンスに積極的に有り金すべてを投じてはいけない。
逆に出る可能性もある。・・・
分散ポートフォリオを心掛け、すべてエグジットすることもない。

上がる可能性もあるし、下がる可能性もあるということだろう。
だから、オール・インしてもいけないし、すべて引き揚げてもいけないとなる。
シラー教授は、ほとんどの人についてマーケット・タイミングを試みるべきでないとも話した。

シラー教授は今、1990年代からの大きなナラティブの変遷に節目が訪れた可能性を感じているようだ。
2000年に向けてのインターネット・ブームのナラティブ、2007年に向けての不動産投機のナラティブ、つい最近までのドナルド・トランプ・ナラティブ
これらはいずれも株を押し上げるように作用してきた。
前2つのナラティブが終わった時、市場はバブル崩壊を迎えた。
今、トランプ・ナラティブが終焉を迎えるかもしれない。

今異なる恐ろしいナラティブが、この数年の米国で初めて私たちの注意をそこ(トランプ・ナラティブ)から逸らしている。
ドナルド・トランプに関してより多く、それ以外、コロナウィルスのニュースを聞くようになっている。


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