グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏の苦戦が続いている。
年初来マイナス22%
Bloombergなどによると、グリーンライトの年初来のロスが22%に上ったのだという。
投資家向け資料によれば、先月グリーンライトは1.1%のロスを出している。
同月S&P 500は1987年以来の急回復(+12.6%)を遂げている。
アインホーン氏は近年何度か極度の苦戦が伝えられることがあった。
それでもアインホーン氏は強気を崩さない。
「これが私たちにとって困難であるばあるほど(そして本当に困難だ)、とうとうこのサイクルのこの局面が終わりに近いと感じている。」
バリュー投資の考え方でロングとショートを立てるスタイルがようやく実を結ぶ局面が近づいているとの期待を述べたものだろう。
今回の景気後退も、アインホーン氏が期待するようなバリュー(ロング)有利のタイミングを生み出してくれるだろうか。
コロナ・ショックが逆風に
アインホーン氏の不運はコロナ・ショックだ。
同氏は「バブル・バスケット」と呼ぶ割高な銘柄群をショートしている。
このバスケットの目玉がネットフリックスとテスラだ。
いずれも意見が交錯する銘柄だが、ネットフリックスは目下コロナウィルスによる巣ごもり特需の恩恵を目いっぱい受けている。
これがコロナ後に継続するのか巻き戻すのかは定かではないが、とにかくネットフリックス株は高値圏にある。
そして、もう1つが出来すぎの高値を続けるテスラ株だ。
コロナ・ショックで大きく下げるかとも思われたが、最近の市場の回復でかなり持ち直している。
テスラの売掛金への疑義
アインホーン氏は30日、テスラのイーロン・マスクCEOあてに同社売掛金についての質問をツイートしている。
私は引き続き御社の売掛金について興味を持っている。
顧客が前払いする商品に対してこれほど大きな金額がある理由について、テスラは、販売が恐ろしく月末に集中しているためと主張した – それは月末が週末ならばの話だろう。
今四半期は火曜日で終わっている。・・・
でも、売掛日数は18日から21日に上がっている。
テスラ株はこの日、前日比マイナス2.3%で引けている。
さらに、この話にはおまけがついた。
1日、マスクCEOが「テスラ株価は私の意見では高すぎる」とツイートしたのだ。
以前自身の発言についてSECと裁判にまで発展したマスク氏の意図は不明だ。
事実が何かと言えば、同日テスラ株がマイナス10.3%で引けたということだ。
5年ロングしたGMを売却
アインホーン氏は5年ロングしたGM株を売却したことを明らかにした。
「GMは期待外れだった」と書いている。
ただし、5年間でのIRRは9.6%だったというから、プラスはプラスだった。
ただ、市場や期待と比べて劣っていただけだ。
アインホーン氏のGMロングについては、テスラとGMを関連付けて理解していた人も多いのではないか。
割安な内燃機関の自動車メーカーを買い、割高な電気自動車メーカーを売るというペアを連想するのは自然なことだ。
それが当たっているのかはわからない。
ただ、アインホーン氏は少なくともGMからはエグジットした。
もちろんGMは内燃機関だけの自動車メーカーではない。
電気自動車へも積極姿勢を示している。
ただし、内燃機関というレガシーも有しているし、レガシーを有する自動車メーカーの株価はやけに安く見える。
やけに安く見えるが、それは見えるだけという話で終わるのだろうか。