データに関係なくボラティリティは上昇する:モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーがボラティリティにかかわるメカニズムの変化を予想している。
ゴルディロックスが機能する構図が崩れ始めているとの示唆だ。


「現状のボラティリティの水準が適正または持続可能ではないとする論拠がまだ2点ある。
1つ目は市場流動性がまだ潤沢でないこと。
2つ目は、新たな楽観に包まれている市場が、物語を(資産価格について)論理的結末に導くかどうかわからない点だ。」

モルガン・スタンレーAndrew Sheets氏がBloombergに話した。
昨年末まで続いたFRBの金融政策正常化が市場の流動性を細らせている。
長く続いた強力な金融緩和で溢れかえった流動性が逆回転を始めたのだ。
昨年第4四半期、市場はこれを主因の1つとして大きめの調整を起こした。
さすがのFRBも、この市場悪化に反応せざるをえず、急速にハト派転換した。
現在、ボラティリティは再び低下し、市場は楽観を取り戻したように見える。

FRBがハト派ならボラティリティは低位に押し下げられ、ボラティリティが低位にあれば市場は上昇する、これが過去のナラティブ(物語)だった。
モルガン・スタンレーは、このナラティブに真っ向から反対している。
その理由は金融市場と金融機関のアンバランスだ:

  • 市場は2009年以降目覚ましく回復・拡大した。
  • 金融機関のリスク許容度は相応には強化されなかった。

つまり、巨大な米金融市場を支えるだけのリスク許容度を米金融システムが備えていないと見ているのだ。
その場合、FRBがハト派であることは安心を約束してくれなくなる。

もしもFRBがハト派のままで(経済)データが軟化すれば、ボラティリティは上昇する。


すでに重すぎる荷物を背負っているところに強風が吹いたら金融システムには何が起こるか。
リスクが高まったことを嫌気して、いくらか荷物を降ろそうとするだろう。
これは流動性を収縮させ、資産価格の下落要因となりうる。
流動性収縮・ボラティリティ上昇・資産価格下落が悪しきサイクルを生みかねないケースだ。

もしもデータが改善し、中央銀行がデータが改善しても引き締めないと事実上言うなら、リスク・テイクはさらに高まるだろう。
その場合もボラティリティは上昇する。

このボラティリティの上昇は必ずしも悪いものではないだろう。
資産価格上昇にともなうボラティリティ上昇だからだ。
しかし、ボラティリティが高止まりする限り、やはり価格は低下するというのが経験則だ。
とりわけ、資産価格が史上最高値圏にある中でのさらなるリスク・テイクなら、その可能性も高いのだろう。

これを占うには、前回の強気相場の終期を見るのが最初の一歩だろう。
強気相場の終期(2007年秋まで)に起こった《最後のひと上げ》のあたりを見ると、ボラティリティは上昇している。
しかし、その後、株価は急落しボラティリティは急騰する。
価格が回復を始めるのは、ボラティリティが収まり始めてしばらくたってからだ。

CBOEボラティリティ指数(青、左)とS&P 500指数(紫、右)
CBOEボラティリティ指数(青、左)とS&P 500指数(紫、右)

モルガン・スタンレーは当時を振り返ってこう評している。

市場が説明した力学はこうだった:
FRBは利上げを停止し、今は政策を安定させ、それがしばらく続き、経済がやや軟化する。
しかし、それは実現しなかった。


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