デュレーションの長いものを買え:カイル・バス

ヘイマン・キャピタルのカイル・バス氏が、米金融政策のゼロ金利回帰を予想している。
ゼロ金利環境の中で少々ユニークな投資推奨を話した。


米経済はある程度軟化しつつあると考えている。
イールド・カーブの長短逆転の例を振り返ると、典型的にはその結果が景気・経済に実際現れるまでに9-14か月かかっている。
だから、2020年初めにも米経済は軟化するだろう。

バス氏がCNBCで、2020年の米景気の「軟化」を予想した。
以前は、インフラ投資がない場合、2020年中の景気後退を予想していたから、やや言葉選びが和らいだのかもしれない。
バス氏はその理由には触れていないが、米議会が財政拡大で合意する見通しであることが影響しているのかもしれない。

FRBが「保険的利下げ」も辞さない姿勢を示していることから、バス氏は「軟化」であっても金融緩和が実施されると予想している。
その上で、利下げの効果はゼロ金利に近づくにしたがいどんどん低減していくと指摘している。
サブプライム/リーマン危機を予言して名を上げたバス氏は、今度は米国がゼロ金利に逆戻りすると確信している。
一度ゼロ金利に至ると、そこからの脱出は難しく、今回は利下げの幅もほとんどない。

「世界経済が少し鈍化している。
これは2008年のような金融危機ではないし、浅い景気後退ですむかもしれない。
しかし、もしもそうなれば(FF金利は)すぐにゼロ金利に到達するだろう。」

ゼロ金利が想定される中での投資戦略を尋ねられると、バス氏はややためらうような仕草を見せつつ話した。

正直なところ、こうした環境で投資を守る最良の方法は、デュレーションの長い資産を買うことだ。
つまり、アパート、オフィス・ビル、長期債など。


この発言からバス氏の予想の背景がうかがわれる。
米経済に危機感を持つ人には真逆の想定をする人たちがいる。
米経済が趨勢的停滞を続け、停滞ゆえの低い実質金利・インフレ、つまり低い名目金利が続くとする人たち。
米経済が悪化するが、財政の悪化などからインフレが次第に顕在化し、名目金利が上昇すると見る人たち。
こちらはやや過激なシナリオになりやすい。
バス氏はどうやら前者に近いようだ。
そうでなければ、金利上昇時に大きく下落しうるデュレーションの長い資産、とりわけ長期債を持つというのは不合理だろう。

バス氏は最近、友人から言われた冗談を紹介している。

『最近では、キャピタル・ゲインのために債券を買い、利回りのために株式を買うようになった。』
私はそれこそ株式が一本調子で上がっている理由だと思う。
株式は米国債利回りがゼロに近づくにつれて上昇しているんだ。

バス氏は基本的に金融相場が支配する市場環境と見ているようだ。
債券が本来の利回りにおいてどんどん魅力を失うにつれ、相対的に株が買われていく。
長く債券利回りを低下させてきたのは、いうまでもなく各国の終わりのない金融緩和政策だ。
バス氏は日欧の例をとり、この金融緩和が今後も続くと予想し、推奨の内容を説明した。

「すべきことは可能な限りデュレーションを多く買い、高利回り資産を買うことだ。
利回り商品がいいだろうし、高配当利回りの米多国籍企業がすばらしい。
下落する可能性はもちろんある。
しかし、長期で見れば、各国中央銀行の方針がそうならば、手堅いものを買った方がいい。」

国債がゼロ金利になれば、他の金利を生まない資産が不利でなくなると考える人も多い。
金・ビットコインについて見解を聞かれると、バス氏は視界になかったようなそぶりを見せた。
金については上昇しうるとしたものの、ビットコインについては否定的な見方を示した。
暗号資産が成功すればするほど、国際的な摩擦における制裁の抜け穴を作りかねないからだ。

「成功すればするほど、世界の主権国家は課税し違法とするだろう。
・・・
うまくいけばいくほど、問題が大きくなる。」


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